ラベル 粘弾性 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル 粘弾性 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示

2023年10月11日水曜日

【実測シリーズ】ポータブルレオメータによる測定例_周波数依存からみる緩和挙動

前回に続いて、

【実測シリーズ】Surfgauge 試作室_ハンディな ポータブル レオメータ 

にて紹介した、ハンディレオメータの測定事例を紹介いたします。


レオメータによる動的粘弾性の測定は、上記での投稿でお見せした動画のように、

正弦振動により、材料にひずみを与えます。


一般にレオメータは、この振動の振幅と、周波数を変化させることができます。

そこで、レオメータの主な測定と評価方法は、以下のようなものがあります。


1)振動の周波数を固定し、振幅を、小から大へ変化させていくことで、主に、

降伏点前と、後での材料の応答性の変化を観察する。

2)周波数も、振幅も固定で、時間の経過に伴う材料の変化を観察する。

前回投稿の、接着剤の硬化過程の観察がこれにあたります。

3)周波数も、振幅も固定で、温度を変化させたときの材料の変化を観察する。

4)振幅を固定し、周波数を変化させることで、材料の緩和挙動を観察する。


まずこちらの動画をご覧ください。


いわゆるシリパテを、ゆっくり引っぱったときと、素早く引っぱったときの挙動の
違いを撮影したものです。

素早く引っぱったとき、シリパテは伸びることなく、ブチっとちぎれてしまい、
その断面は平らで、その面もエッジが立っていることがわかると思います。

一方で、ゆっくり引っぱると、シリパテは伸びるとともに、タラーっと垂れて
いきます。


前者は、まさに固体的な挙動であり、後者は、液体的な挙動です。


この様子を、レオメータの測定でどのように表現できるのか。

この時、材料の、緩やかな動きへの応答性と、素早い動きへの応答性を見るため

に、上記、4)の測定方式を試してみます。


結果は、以下の通りです。

横軸 :周波数 [Hz]

左縦軸:貯蔵・損失弾性率 [KPa]

右縦軸:位相差 [°]

赤曲線:貯蔵弾性率、青曲線:損失弾性率、黄曲線:位相差


低周波数から高周波数に向かって、弾性率が文字通り、けた違いに増加している

ことがわかります。

つまり、かたくなっているということになります。


実際、シリパテをゆっくり引っぱったときは、力を必要とせず、抵抗感なく

引っぱることができました。

一方で、素早く引っぱるときは、手に力が入り、抵抗感も感じました。


過去の投稿でも書きましたが、

かたい = 固体、やわらかい = 液体 

は、必ずしも成立しないことがあります。


では、タラーっと垂れる流体的な挙動と、断面が平らで、エッジがっている

という固体的な挙動については、このデータからどのように見ることができる

のでしょうか。


もう少し高周波数まで測定を行えばよかったのですが、いずれにしましても、

グラフからは、高周波数に行くほど貯蔵弾性率の支配性が増し、つまり固体的な

応答をしていることがわかり、

低周波数に行くほど、損失弾性率の支配性が大きく増していっている、つまり

液体的な応答をしていることがわかります。


ここで、このグラフの横軸は周波数、つまりは速度ということになるため、その

逆数は時間になります。

与えているひずみ(振幅)が一定であれば、弾性率の変化は、応力の変化という

ことになりますので、この弾性率のグラフは、緩和曲線とみることができます。


緩和している状態とは、貯蔵成分が限りなく消失している状態といえます。

通常の応力緩和試験では、応力の抜け具合はわかりますが、貯蔵成分の残留に

ついては、明確にはわかりません。

動的粘弾性測定を用いれば、損失成分と、貯蔵成分の値を比較したり、位相差の

値から、これがわかります。


また、ある時間における緩和状態を知りたい場合、通常の応力緩和試験では、

短時間から通貫して、その時間まで緩和試験を行わなくてはなりませんが、

動的粘弾性を用いれば、その時間の逆数となる周期、一点を測定すればよいと

言えます。


なお、緩和については、過去の投稿、

粘弾性について5)_緩和について

【実測シリーズ】緩和時間の測定

などをご参照ください。


動的粘弾性測定の、情報量が多く、興味深い一面が見れたように思いますが、

いかがでしたでしょうか。


ここまで読んでいただき、ありがとうございます。



2023年10月9日月曜日

【実測シリーズ】ポータブルレオメータによる測定例_硬化挙動評価

前回投稿の【実測シリーズ】Surfgauge 試作室_ハンディな ポータブル レオメータ

にて紹介した、ポータブルレオメータによる測定例を紹介いたします。



今回、シリコーン樹脂系弾性接着剤の硬化挙動について、測定を行いました。

下図、測定結果になります。


横軸 :時間 [分]
左縦軸:貯蔵・損失弾性率 [KPa]
右縦軸:位相差 [°]

赤曲線:貯蔵弾性率
青曲線:損失弾性率
黄曲線:位相差

測定開始時は、損失弾性率が貯蔵弾性率を大きく上回り、位相差も90°近辺の

値を示していることから、試料が液体状態であることがわかります。


35分くらいの時点で、位相差が45°を示し、貯蔵・損失弾性率のグラフが

クロスしています。

ここで、液体から固体への遷移点として、硬化時間の判定として定義するという

使い方ができます。


この接着剤を使用する場合、30分程度は、接着面が動かないように固定しておく

必要がありそう、といったような判断ができそうです。


その後、緩やかに位相差が低下し、弾性率が上昇していくことで、完全に固定化

していく様子がわかります。


動的粘弾性の測定は、弾性率をかたさの情報にくわえ、貯蔵・損失成分に、成分

わけできるため、非常に多くの情報を与えてくれます。


動的粘弾性の測定原理については、過去の投稿

粘弾性について6)_動的粘弾性の測定原理

をご参考いただければと思います。


また近々、周波数依存の測定を行った例をご紹介させていただければと思います。


ここまで読んでいただき、ありがとうございました。


2023年10月3日火曜日

【実測シリーズ】Surfgauge 試作室_ハンディな ポータブル レオメータ

 以前の投稿、

「【実測シリーズ】Surfgauge 試作室_ハンディなポータブル レオメータの提案」

にて、ポータブルレオメータの試作機を紹介させていただきました。


ポータブル機器として、より使い勝手の良さを検討し、量産試作が完成いたしました。

外観と、サイズ感は以下のような感じです。


機能と特徴は、

1)
使い勝手を考慮し、ひずみ量と周波数は、有段で設定変更できるようにしています。
側面の上方に設置しているボタンで、それぞれ数段階の切り替えが可能です。

2)
ディスプレイを本体に搭載し、
    ・弾性率(複素、貯蔵、損失)
    ・位相差
    ・周波数
    ・ひずみ量
が、表示されます。
測定しながら、リアルタイムで確認することができますので、検査などの現場使いに
適していると思います。
(弾性率のシンボルに「G」が使用されていますが、この装置は、縦ひずみでの測定の
ため、「E」に変更予定です。。。)

3)
測定子については、
 ・円板型のピストン2種(大、小)
 ・その他(ピン型、円すい型、ナイフエッジ型)
等に対応しています。

円板型のピストンについては、ピストンの断面積と荷重値から応力が算出され、サンプル
の厚みも計測されますので、弾性率[Pa]、ひずみ量[-]の出力が可能です。

その他の測定子については、荷重値[N]と、変形量[mm]から、弾性係数を[N/mm]と
して出力します。

4)
押し込みのモードと、引き上げの両モードを備えました。
押し込みモードは、材料の弾性率の測定に。
引上げモードは、塗装面などの上でそのまま測定することで、塗膜の硬化課程などを
調べることができます。

5)
弾性率だけでなく、位相差のキャリブレーションに対応しています。
レオメータを知っている方にとっては、これは気になるところではないでしょうか。
なお、完全なひずみ制御を採用しているため、変位量については、キャリブレーション
不要です。

6)
以前、紹介した試作機からアクチュエータを変更し、より小さなひずみ量の制御が可能
となりました。


動きがわかりやすいように、かなり大きな振動を与えてますが、切り取った除振パッドを
大ピストンを用い、測定している動画です。
周波数を、適当に切りかえています。



動作の確認、調整のため、いろいろな試料を測定していますが、やはり動的粘弾性の
測定は非常に興味深く、面白いです。
測定例なども、この場であげさせていただき、シェアさせていただければと思います。

主に品質検査などに活躍できるのではないかと期待をしています。


ここまで読んでいただき、ありがとうございました。

2021年6月5日土曜日

【実測シリーズ】Surfgauge 試作室_ハンディな ポータブル レオメータの提案


いい加減、コロナ禍の閉塞感を感じている方も、いらっしゃるのではないかと
思いますが、いかがお過ごしでしょうか。


現在、今回のタイトルにある、ハンディタイプのレオメータを開発中です。

概ね、システムは仕上がってきたため、実機の動作確認も兼ねて、アプリケーション
として考えられる対象物を、測定してみる、ということを行っています。


少し近い物性の測定器では、粘度計や、硬度計。
これらは、ハンディでポータブルなタイプの測定器が上市されています。

しかし、これまで、手持ちサイズで、動的粘弾性の測定が可能な装置は、まったく普及
されていないように見受けられます。

どのようなところにニーズがあるかは、他のポータブル測定器と同じであるかと
思いますが、一般的には、例えば、

・サンプルが切り出せない(大きい、ラボの外部・遠方にある など)
・現象を測定器上で再現するのではなく、現場で起きている、そのままの現象を
 測定したい
・経時変化が著しく、その場で、すぐに測定する必要がある
・品管などで、汎用的に使いたい

などでしょうか。

とりわけ、動的粘弾性の測定に関していえば、例えば、

塗料や接着剤の硬化過程を、塗布面から直接測定したい。

とか、
食品関係では、食感と粘弾性に、深い関連性がある、米、もち、かまぼこ、ゼリー
などを、調理・加工後、すぐに測定したい場合、

また、
ドウ(パンの生地)のように、練ってから、測定するまでに過発酵してしまい、
すると、テクスチャが変わってしまうため、時間が命だったりする食材など。

その他、
肌、筋肉など、人体を構成する部位の測定。

他にも、色々とニーズはあるかと思います。


ここで、装置を紹介したいと思いますが、
装置のサイズ感、外観は、以下のようなものになります。


装置下面を、任意のサンプル表面に接触させて、測定を行います。

下面には、縦方向に正弦周期的にひずみを与える測定子が備えられており、変形を
与えると同時に、周期的に変化する荷重値を測定します。

変位と荷重の正弦波が得られると、粘弾性の解析が可能になりますが、よろしければ、
概要は、過去の投稿、
をご参照いただければと思います。

なお、測定子については、
形状は、ピン状のもの、球面状のもの、平面状のものなど、
また、これらのサイズを細い・太い、小さい・大きい 
を用意しており、測定対象の性質や、かたさなどから、適切なものを選択できる
ようにしています。


ここからは、測定例の一部を紹介したいと思います。

以下は、接着剤の測定例です。
○・・・貯蔵弾性成分(E')
●・・・損失弾性成分(E")
×・・・位相差(δ)[°]

横軸は、時間[分] です。
右縦軸は、位相差[°] です。
E', E"については、現状、まだ単位はついていませんが、弾性率に比例した値です。
対数軸となっている、縦軸のスケールをご参照ください。

測定開始から、10分てまえのところで、E' = E" (δ = 45°) を示し、液体から
固体への遷移を迎えています。
このように、貯蔵・損失に成分分けすることで、硬化判定の一つの定義を、与えて
くれます。


次は、水溶性塗料の測定例です。
グラフのみかたは、上記、接着剤の例と同じです。

水溶性のためか、接着剤にくらべ、硬化に時間がかかっていることがわかります。

また、硬化前のところでは、データが大きく「ガタ」ついているのがわかるかと
思いますが、硬化前の塗料が、かなりゆるいため、荷重センシングに限界がある
ためかと思います。

これを解決するためには、測定子の面積を大きいものにするということが考えら
れますが、塗料との接触面積を大きくすると、溶媒が揮発しにくくなり、実際の
硬化速度と、かけ離れたデータになってしまう可能性があります。

これには、ナイフエッジ型の測定子を用い、包丁のようにつきたてて測定をする
という方法がかんがえられます。


ありそうで、なかった、できそうで、できなかった。

ハンディ型のレオメータについては、多くのニーズがあるのではないかと考えてます
が、間もなく、ラインナップに加わります。

こんなことで困っている。
こんなものを測定してみたい。

など、お問い合わせいただければ幸いです。


ここまで、読んでいただきありがとうございました。


2020年7月28日火曜日

【実測シリーズ】Surfgauge 試作室_せん断ひずみによる、動的粘弾性の測定


以前、
【実測シリーズ】コロナ自粛期間中 速報的 液膜粘弾性の測定
では、液膜の動的粘弾性の測定の実施例について、投稿をいたしました。

掲載しているデータは、マランゴニ効果、ギブス弾性力による、現象面視点の説明
からは、理にかなっているのでは、と、まとめました。

しかし、液膜を直接、延伸・収縮させる動作から、動的粘弾性の測定原理を利用し、
動的粘弾性パラメータを得て、解析、という実例が見つからないため、このデータの
妥当性が、よくわからないところはあります。

動的粘弾性の測定原理ついては、
粘弾性について6)_動的粘弾性の測定原理
をご参照ください。

このページでも解説している通り、応力とひずみ、両正弦波の振幅の比と、位相の差
が得られれば、動的粘弾性の測定、解析は可能です。

あるデータ範囲において、二つの波形それぞれの振幅値を検出し、その比をとって
複素弾性率を解析することは、システムとして、さほど難しいことではありません。

問題は、位相差の正しい測定と、その検証ではないかと思います。

動的粘弾性測定器は、主に、荷重(力)、位置の二つのセンシングデータを取得し、
後は、ほぼすべて、計算のみで成立しています。

システムは、入力されたセンシングデータを順番に処理しますので、ビット化された
二つの波形データは、交互に(必ずしも、一周期ごと、という意味ではありません)、
波形解析のために、蓄えられていくということになります。

あくまでも、二つのデータを交互に入力されることになりますので、二つのセンサ
固有の動作周期による遅延、A/Dコンバートの時間など、時間差を生む要因を、
物性以外で、システムに起因したものをいくつか思いつきます。

装置の動作は、メカニカルですし、例えば、データ入力のサンプリング周期を把握
することも可能ですので、数理的に補正することは可能です。

このように、「問題ないであろう」、というところまで持っていくことは可能と考え
ますが、
レオロジー的には、完全粘性体、完全弾性体というのはない、というように、例えば、
位相差が0° 、または、位相差が90° であることが担保されている、標準物というもの
が存在しませんので、実地的に検証することが基本的にはできません。

また、この実地的な検証は、動的粘弾性の動作周波数を変化させ、確認したいところ
ですが、
例えば、ある程度、厳密性を許容し、ニュートン流体とされる物体(位相差 ≒ 90°)
を用い、検証したとしても、高周波数域、つまり短緩和時間領域で、ニュートン流体
である物体は、えてして、低粘度です。

動的粘弾性測定機器にとって、低粘度(正確には、低貯蔵弾性率)の物体を、高周波で
測定することは、条件として苦手な方向です。
ここでまた不確定要素、または、その苦手要素を数理的に解消するために、補正する
などの必要性が出てくるため、気色悪い感じになってきます。

以上は、単なる開発上の苦労話として、厳密な話をしていますが、実際には、この
ようなことをさしおいても、動的粘弾性測定器は、非常に有用で、興味深いデータを
与えてくれますので、ある程度、「このようなものだと」気楽に使うのが、良いように
思えます。


ようやく、本題に戻りたいと思います。

【実測シリーズ】コロナ自粛期間中 速報的 液膜粘弾性の測定
では、液膜の動的粘弾性の測定の実施例を紹介しましたが、現象的な観点では、妥当
に思えましたが、前例が見当たらないことや、システムの信頼性を検証していません
でしたので、測定結果の妥当性がよくわかりませんでした。

今回、同じシステムを用い、せん断ひずみによる動的粘弾性測定に応用しました。

ここで、粘度値が既知で、ニュートン流体とされている、シリコーンオイルを用い、
・位相差が90° 付近で検出されるのか
・複素粘度(動的粘弾性測定から得られる粘度値)が、基準値に対し妥当か
について検証を行ってみました。

まず、せん断ひずみについては、こちらをご参照ください。
粘弾性について7)_伸長粘度はなぜ3倍? ~その1~_せん断ひずみと伸長ひずみ
一般的な、粘度計、動的粘弾性測定器で採用されている、ひずみ形態です。

せん断ひずみとは、以下のような立方体要素を、互い違いにずらした時の変形です。


粘度測定では、どこまでもずらし続けていくという格好になりますが、動的粘弾性の
測定では、下図のように、


立方体形状の状態を原点とし、正に、負に、対照的に振動させ、絶対値として、
ひずみ量、応力を得ます。
なお、動的粘弾性では、
・振動周波数を固定し、振幅の大きさを変化(通常は、小から大へ)
・振幅の大きさを固定し、振動周波数を変化
させて、それぞれの応答特性を得て、解析するなどします。


以下に、振幅の大きさ(ひずみ量)を変化させたときの結果を、示します。


3種のシリコーンオイル、以下の粘度値のものを使用しました。

  青:5 Pa・s
  赤:1 Pa・s
  緑:0.3 Pa・s

低ひずみ量域では、グラフが平坦でないことがわかりますが、変位、荷重(力)が、
微小、微弱なため、装置のセンシング能力に原因があるものと思います。
この辺は、まだブラッシュアップの余地があるように思います。

ひずみ量が、ある程度大きくなり、データが安定している領域では、位相差は、
概ね90° 付近で平坦性を示しているかと思います。


次に、ひずみ量を固定し、周波数のみを変化させて、測定した結果を示します。


ここでも、3種のシリコーンオイル、以下の粘度値のものを使用しました。

  青:5 Pa・s
  赤:1 Pa・s
  緑:0.3 Pa・s

ここで縦軸は、複素粘度で、動的粘弾性の測定から得られる、粘度値です。
複素粘度は、緩和領域では、いわゆる通常の回転式粘度計によるせん断粘度と、同じ
値を示します。

ちなみに、この緩和領域では、角周波数とせん断速度は、等価であるという、
コックス-メルツの経験則があります。
非ニュートン流体を測定したとき、粘度低下する程度に高せん断速度領域の、せん断
粘度値に、複素粘度は合致しない、というように言いかえられます。

この結果では、複素粘度が角周波数に対して一定で、ニュートン流体であることを
示しており、粘度値も、それぞれ、基準値と同じ値を示しています。

複素粘度は、複素弾性率を、周波数[Hz] × 2π で割り算して得られます。 周波数の
計測が正しいとして、複素粘度が妥当な値であれば、複素弾性率も妥当であると言え
ます。

概ねニュートン流体といってよい、今回使用した、シリコーンオイルの、ひずみ依存
測定では、位相差が、90° 付近の値が出ていることも確認できました。

今回、せん断ひずみ用の治具は、急造したものを使用したり、
低ひずみ領域のセンシング能力、をはじめとして、
システムとして、まだまだブラッシュアップの課題はありますが、とりあえず、今回は、
まずまず、妥当な測定結果が得られたものと考えています。

また、複素弾性率と、位相差から計算される、貯蔵弾性率も、損失弾性率も、まずまず
妥当な結果になるものと、判断できます。

ちなみに、商品情報によれば、今回使用したシリコーンオイルは、高粘度タイプのもの
ほど、シアシニング特性(高せん断速度で、粘度低下する)が出る傾向にあるよう
なので、厳密には非ニュートン流体といえます。
そのため、十分なシアシニングが起きない、低せん断速度、または低ひずみ領域では、
貯蔵弾性率成分が、まったくないとは言えない、という点に注意が必要と思います。


今回の、せん断ひずみによる粘弾性測定の結果も踏まえまして、
【実測シリーズ】コロナ自粛期間中 速報的 液膜粘弾性の測定
での、液膜の動的粘弾性の測定の実施例について、再評価もいただければ幸いです。

今回、見えてきた課題もブラッシュアップしつつ、多機能で手軽に使用できる、
動的粘弾性測定システムとして、商品紹介できるまで、開発を継続したいと思います。


ここまで読んでいただき、ありがとうございました。


2020年7月27日月曜日

粘弾性について6)_動的粘弾性の測定原理


長らく先送りしてきた、動的粘弾性の測定原理について解説したいと思います。

前回、【実測シリーズ】コロナ自粛期間中 速報的 液膜粘弾性の測定 として、
動的粘弾性の実測例を紹介いたしました。

動的粘弾性の測定について、あまりよくご存じのない方には、内容があまりよく
伝わらなかったのではないかと思います。

本来、動的粘弾性の測定原理については、もう少し早い段階で、この内容を投稿
したいと考えておりましたが、遅まきながら、ようやく投稿にこぎつけました。


では、本題に移りたいと思います。


液体の流動抵抗は、粘性に起因し、粘度を測定することで、その抵抗の度合いを
調べることができます。
固体のかたさは、弾性に起因し、弾性率を測定することで、そのかたさを調べる
ことができます。

粘度にしても、弾性率にしても、ある物体のかたさ(的なもの)をあらわしている
ことに違いはありません。

ところが、完全な流体(粘性体)、完全な固体(弾性体)というのは、厳密には存在
せず、物体は、大なり小なり、粘性と弾性の要素をあわせもっている、粘弾性体です。

そのため、粘弾性の測定が重要になります。
粘弾性とは、さも一つの物性のように思えますが、単独で存在する物性ではないので、
ある一つの測定から、複合的に解析され、評価をします。

粘弾性は、横軸、縦軸に成分分けし、平面的に評価するという特徴をもとに、
粘弾性について1)_学校の定期試験を例にとった説明
粘弾性について2)_固体はかたい、液体はやわらかい?
にて、概念的な説明を行いました。



では、ここから具体的な説明に入りたいと思います。

まず、図1.をご覧ください。

図1.

滑車を用いて、ピストンを往復運動させている時のアニメーションです。
滑車が等速で円運動をしているとき、ピストンの位置を記録していくと、正弦波形
が得られます。
また、滑車の回転角度と、正弦波の横軸を対比させると、正弦波一周期は、360°
であることがわかります。

次にフックのバネ試験を、分銅の重さを連続的に変化させたとして、正弦振動で
行ってみたときのイメージが、以下、図2.になります。

図2.

刻々と変化する、ばねの位置(伸び)と、分銅の重さを連続的に記録すると、二つの
正弦波形が得られました。

二つの波形のピークの値、「重さ」を「伸び」で割り算すれば、弾性率が得られ、
振動をさせていようが何だろうが、本質的にはフックのバネ試験となんら変わらない
ことがわかります。

フックの法則に従い、重さと、伸びは比例関係ですので、ピークの値に限らず、同じ
タイミングどこでも二つの値の比をとれば弾性率が得られます。

実際に、縦軸に重さ、横軸に伸び、の関係であらわたしたのが、以下、図3.です。

図3.

このグラフの傾きが弾性率をあらわすことから、やはり、フックのバネ試験と、
何ら変わらないことがわかります。


次に、理想粘性体の場合の、荷重(力)と位置の関係性を、図4.に示します。

図4.

理想弾性体の時と異なり、力の波形が、位置波形に、90° 先行していることがわかり
ます。

力が、正または負で、最大値をとっているとき、位置波形は、原点位置にあります。
逆に、位置が、正または負で、最大の位置にあるとき、力は原点ライン上にあり、
つまり、力がゼロ、発生していないことになります。

ここで、ニュートンの粘性法則を思い出してください。

    [ 力 = 粘度 × 速度 ]

でした。
力は、速度に比例します。

ピストンは、原点ラインを通過するとき、最大の速度にあり、通過後、正、または
負のピーク位置にむかって減速し、折り返しとなるピーク地点では、瞬間的に速度
はゼロになります。

つまり、力波形は、ピストン位置の、速度状態に対応をしており、ニュートンの粘性
法則にしたがっていることになります。

位置を、時間について微分すると、速度になりますが、正弦波を微分すると、90°
シフトするというのは、なんとなく記憶にあるのではないかと思います。
数学的にも、上述のように現象論的にも、以上のように説明できます。


図3.では、同じタイミングで得られた、両波形の値の比をとれば、弾性率になる
ことを説明しました。
これは、フックのバネ試験と何ら変わらないと申しましたが、とりわけ、正弦振動
で測定を行った場合は、「複素弾性率」と呼びます。

次に、二つの正弦波形の位相の差に着目します。
位相差が0° の時、完全弾性体。
位相差が90° の時、完全粘性体。
0~90° の間にある時、粘弾性体であるということになります。

動的粘弾性の測定では、複素弾性率による、かたさ情報だけでなく、位相差の値から、
どの程度、弾性寄りなのか、粘性寄りなのか、性質の情報も与えてくれます。


ここまでは、三角関数の観点で説明をしてきたことになるのですが、オイラーの式
を用いることで、複素解析に結びつけることができます。
(ブログの目的、紙面の制限、筆者の説明能力、などの制約のため、オイラーの式に
ついてはふれません)

以下、図5.は、粘弾性について2)_固体はかたい、液体はやわらかい? の説明の
中で用いた評価例ですが、オイラーの式により、複素平面上に表すことができる
ようになります。

図5.

ここで、二つの正弦波の比である、複素弾性率は、かたさ情報を、ベクトルの長さ
としてあらわされます。
位相差は、原点位置における角度として、ベクトルの向きを決めています。
これにより、複素弾性率は、縦成分と横成分に成分分けすることができます。

縦軸は、損失弾性率といい、粘性成分(位相差90° の成分)を示し、虚数単位を
とります。
横軸は、貯蔵弾性率といい、弾性成分(位相差0° の成分)をしめし、実数です。


いかがでしたでしょうか。
複素数、虚数が出てくると、無条件で、「ややこしい」と思われてしまう面もある
ように思います。
実際には、かたさ(弾性率)を、単に、横・縦成分に、2成分分けしているのだな、
と理解すれば十分の測定・評価方法であると思います。


前回の、【実測シリーズ】コロナ自粛期間中 速報的 液膜粘弾性の測定 で紹介した
システムを用い、せん断ひずみによる動的粘弾性の測定への応用検証も、はじめて
おります。

次回、【実測シリーズ】として、ご紹介できればと考えています。


ここまで読んでいただき、ありがとうございました。


2020年5月15日金曜日

【実測シリーズ】Surfgauge 試作室_コロナ自粛期間中 速報的 液膜粘弾性の測定


前回の投稿から、だいぶん間があいてしまいました。

昨今のコロナ自粛期間中、いかがお過ごしでしょうか。


世の中、今回を機に、コロナ終了後も、在宅ワークの流れは促進されていくのかも
しれませんが、業務や時間効率が上がるのであれば、どんどんそのようになっていけば
良いのかなと思います。

私どもは、もともと在宅ワークの方式をとっていますが、特に不便を感じたことは
ありません。

ただ、今回のような自粛、緊急事態宣言下で、テンポラリーに在宅ワークを行っている
方は、お客様や、パートナーなどが稼働していなければ、やることもなくなってきて
しまうのではないかと想像します。

このような時は、「いつかやろう」、「ダメもとでやってみたかったこと」など、
最低の成果でもプラスマイナスゼロ、最悪でも会社やご自身に、損害を与えない結果
にしかならないようなことをやってみるのはいかがかと思いました。

申しました通り、もともと在宅ワークということもあり、ここまでの間、取り立てて
仕事のペースが変わることはなかったのですが、自粛の気分を変えたいと思い、
「いつかやろう」と考えていたこととして、液膜粘弾性測定装置の試作にトライして
みました。



前置きが長くなりましたが、今回のタイトルに戻りたいと思います。


当ブログでは、これまで、「粘弾性」に関係する内容がほとんどでした。

粘弾性については、主に、概念的なお話をさせていただきました。

粘弾性測定の実測については、本来は粘弾性の測定原理まで到達した後で投稿する、
という中期計画でした。

  ブログをかなりサボってしまっていたこと。
  「自粛の気分転換」。

これらはさることながら、
「液膜粘弾性の実測」については、なかなか目にすることはないはず、と思い、
今回、あげさせていただくことにしました。


いきなり測定データを示します。


白抜きのドットが貯蔵(バネ弾性)成分。
黒塗りのドットが損失(粘性)成分です。

バネ弾性、粘性成分については、よろしければ、こちらをどうぞ。
粘弾性について1)_学校の定期試験を例にとった説明
粘弾性について2)_固体はかたい、液体はやわらかい?

横軸は、周波数で、対数軸になっています。

食器用洗剤水溶液(確実にミセル濃度以上、正確な濃度は不明)の液(シャボン)膜
を作り、その膜をある方法で、ひっぱったり、縮めたりという動作を「正弦周期的」
に繰り返しました。

その際、膜の長さと、力の変化を、それぞれ正弦波のデータとして記録します。

変形の大きさと、力の関係から、弾性率が得られることを、
粘弾性について6)_伸長粘度はなぜ3倍? ~その1~_せん断ひずみと伸長ひずみ
で説明をいたしました。

これらの関係を正弦波で得ると、かたさである弾性率を、貯蔵成分と損失成分に分ける
ことができます。

この粘弾性の測定原理については、いずれの機会に投稿したいと思います。


往復運動の速度を上げていくと、特に貯蔵(バネ弾性)成分の顕著な上昇がみられます。


ミセル濃度を超える液膜には、洗剤に含まれる界面活性剤分子が、密に吸着し配向
しています。

界面活性剤の吸着密度に応じ、表面張力は低下します。

一方で、液膜を引き延ばし、表面積が増加すると、密であった界面活性剤が瞬間的
には「疎」の状態になりますので、液膜の表面では、界面活性剤濃度が低くなり、
瞬間的に表面張力は上昇します。
これは「ギブス弾性力」で説明されます。

液膜を引っ張ると、表面積を最小にして安定化をはかろうとする表面張力の作用に
より、縮まろうとしますので、表面張力はバネ弾性のように働きます。

以下、ウィキペディアで紹介されている動画を見ていただくと、イメージがよくつかめます。
https://en.wikipedia.org/wiki/Surface_tension

いっぽうで、「疎」になった隙間には、すぐに界面活性剤が移動してきて、密の状態
になるため、表面張力を低下させます。
このメカニズムを「マランゴニ効果」とよびます。

高周波数領域では、液膜の表面積の増加に、界面活性剤の移動がおいつかないため、
弾性率が上昇し、
周波数が低い領域では、界面活性剤の移動がじゅうぶんにおいつくため、弾性率は
上昇することなく、安定していると、グラフからは理解できそうです。

低周波数領域では、弾性成分が粘性成分を上回り、並行で平坦なグラフになって
いますが、配向した界面活性剤が、構造として液膜の安定に寄与しているのでは
ないかと想像します。


いかがでしょうか。


今回、試験を行ってみて、例えば、

  起泡性、泡安定性、フォーミング、テクスチャーなどを検討する際の、液膜物性
  の評価。
  目的に合わせた材料設計時の、界面活性剤の選定。

などに、実用性のある測定方法になるのではないかと思いました。

試作機をブラッシュアップしながら、色々な液体を試してみたいというように思い
ました。


ここまで読んでいただき、ありがとうございました。


2019年9月15日日曜日

粘弾性について8)_伸長粘度はなぜ3倍? ~その2~_伸長ひずみを掘り下げる


前回は、ひずみの形態として、せん断ひずみと、伸長ひずみの定義について解説を
しました。

今回は、伸長ひずみについて、さらに掘り下げてみたいと思います。


まず、伸長ひずみの仲間を紹介したいと思います。
前回のブログでは、一軸延伸による伸長ひずみを説明しました。


この図から、なにかお気づきになりませんでしょうか。

伸長ひずみでは、引っ張ったり、縮めたりという「主軸」の変化に連動し、他の
軸も、伸びる、または、縮むといった変化が起きています。

ひずみが大きくなっても、物体の体積は一定ですから、どこかが伸びたら、どこかが
縮む、当然といえば当然ですね。
このことは、伸長ひずみを理解するうえで、大変重要なポイントになります。

例えば、下図のような物体に、一軸延伸による伸長ひずみを与えます。


体積が一定のとき、引っ張り長さ(L)の変化に対する、幅(D)は以下のように変化
します。
体積は、L × D^2 で、どこまで伸ばしても一定のはずです。
幅は、二乗で効いたDを、平方根で割り戻すことになるので、Lが大きくなるほど
変化が小さくなります。


伸長ひずみの計算のおさらいと、「ポアソン比」について説明します。


ここで、前回のブログのとおり、伸長ひずみ量は、(l - l0) / l0 でしたね。
伸長ひずみ量のシンボルを、ε とします。

幅方向のひずみ量も、同じように、(D - D0) / D0 で求めることにします。
幅方向の圧縮ひずみ量のシンボルを、ε' とします。

上記、引っ張り長さと、幅の関係を示したグラフを、ε'と、ε に置き換えたのが、
下図です。
なお、ε' は、収縮によって生じるひずみのため、マイナスの値をとりますが、
符号は気にする必要はなく、絶対値であつかえば良いです。


ひずみ量が小さい領域では、グラフは、ほぼ正比例であり、ε' は、ε の、ほぼ0.5倍
であることがわかります。

ε' / ε でとった比を、「ポアソン比」といいます。

・変形時に体積変化が伴わず、
・小ひずみ量 領域においては、
ポアソン比 = 0.5 であるとして、

       ε' = 0.5ε
       ε  = 2ε'

で、お互いに換算できるということになります。
幅方向のひずみ量から、延伸方向の伸長ひずみ量に換算できる、ということは、
伸長ひずみによる粘度や弾性率を測定するときに、実は、不可欠です。



今回、伸長ひずみのメカニズムの、第一歩に踏み込みました。

とりあえずは、物体に、変形、ひずみを与えたとき、断面積が変化する変形は、
伸長ひずみであると理解をしておいて、差し支えないと思います。

せん断ひずみは、変形の大きさに伴い、断面積(厚みや幅)の変化は、発生して
いないことが、前回の、せん断ひずみの図からも、わかると思います。

この差は、粘度測定により、物質の評価を行う際、大きな差を生みます。

このことは、まずは、「伸長粘度は、せん断粘度の3倍」であるところまで、たどり
着いてから、取り上げたいと思います。


ここまで読んでいただき、ありがとうございました。


2019年9月14日土曜日

粘弾性について7)_伸長粘度はなぜ3倍? ~その1~_せん断ひずみと伸長ひずみ


これまでの、「粘弾性について」シリーズでは、肩ならし? ウォーミングアップ ?
のため、少し定性的な方向で話をしてまいりました。

この先、少しずつ、科学的な定義にも触れながら、話をしてまいりたいと思います。

そのようにしないと、話が進んでいくにつれ、逆に説明が難しくなることもあるため
です。


今回は、「ひずみ」について取り上げたいと思います。

シリーズ化したサブタイトル、「伸長粘度はなぜ3倍?」を終着点にするための
第一歩として、取り上げようと思いました。


粘弾性について3)_粘度と弾性率の定義のなかで述べられている、

       粘性係数 = 力 / 速度
       弾性係数 = 力 / 変形の大きさ

について、
  ・「速度」とは、ひずみの大きさが変化する速度
  ・「変形の大きさ」とは、ひずみの大きさ
を意味します。

では、「ひずみ」とはなにか、定義について説明します。


ひずみにはいくつかの種類がありますが、このシリーズでは、「せん断(ずり)」
ひずみと、「伸長」ひずみの2つについて説明します。

いずれにしても、ひずみとは、物体の変形の大きさを比で表したものです。


まず、せん断ひずみについて説明します。




せん断ひずみとは、上図のような立方体要素を、トランプをずらすかのように、
上面と底面をたがいちがいにスライドさせる変形です。

力Fをあたえ、Δxのずれを与えたとき、
Δxと、物体の厚みΔyの比、Δx/Δy (=tanΘ) がひずみの大きさ、ひずみ量です。

Δxも、Δyも長さ単位を持ちますので、ひずみ量は無次元単位になります。
なお、100を乗じて%であらわす場合もありますので、単位を確認するようにして
ください。

なお、ずらすのにかけた力Fを、面積Aで割り算したものがせん断応力です。

応力の単位は、
       Pa(パスカル) = F[N(ニュートン)] / 面積[m^2]

前述の通り、
       弾性係数 = 力 / 変形の大きさ

ですので、
       弾性率[Pa] = せん断応力[Pa] / ひずみ量[-]

になります。

なお、せん断ひずみにより測定する弾性率、「ずり弾性率」のシンボルは、「G」が
用いられることが多いです。

次に、このひずみ量を時間(秒)で割り算すると速度になり、これを、せん断速度
と呼び、秒あたりに発生したひずみの大きさになります。

       せん断速度[1/s] = ひずみ量[-] / 時間[sec.]

せん断速度の単位は、1/s であり、粘度測定をされている方は、インバースセック
(秒の逆数)という言葉を使ったり、聞いたりするのではないでしょうか。

前述の通り、
       粘性係数 = 力 / 速度

ですので、
粘度[Pa・s] = せん断応力[Pa] / せん断速度[1/s]

になります。


次に伸長ひずみについて説明します。



伸長ひずみとは、上図のような立方体要素を、直方体に延伸させる変形です。

力Fをあたえ、Δlの延伸を起こしたとき、Δlと、物体の元のながさl0の比、Δl/l0 が
ひずみの大きさ、ひずみ量です。

Δlも、l0も長さ単位を持ちますので、ひずみ量は無次元単位になります。
せん断ひずみ同様、100を乗じて%であらわす場合もあります。

なお、延伸するためにあたえた力Fを、面積Aで割り算したものが引張応力です。
以下は、せん断ひずみの時と同じですが、復習もかねて解説します。

応力の単位は、
       Pa(パスカル) = F[N(ニュートン)] / 面積[m^2]

前述の通り、
       弾性係数 = 力 / 変形の大きさ

ですので、
       弾性率[Pa] = 引張応力[Pa] / ひずみ量[-]

になります。

なお、伸長ひずみにより測定する弾性率は、ヤング率という呼ばれ方で、聞き覚えの
ある方も多いかもしれません。

「伸長弾性率(ヤング率)」のシンボルは「E」が用いられることが多いです。

せん断ひずみ同様、このひずみ量を時間(秒)で割り算すると速度になり、これを、
伸長ひずみ速度と呼び、秒あたりに発生したひずみの大きさになります。

       伸長ひずみ速度[1/s] = ひずみ量[-] / 時間[sec.]

よって、伸長粘度は、
       粘度[Pa・s] = 引張応力[Pa] / 伸長ひずみ速度[1/s]

になります。



流体用の回転粘度計は、せん断ひずみによる測定が主流です。
引張試験機では、呼び名のとおり、伸長ひずみによる測定です。

しかし、変形は、これらの変形形態が複合的に発生します。

サブタイトルにもなっている、伸長粘度はせん断粘度の3倍、を理解するためには
せん断ひずみと、伸長ひずみが、それぞれ、相互的に関係していることを理解する
必要があります。


ここまで読んでいただき、ありがとうございました。

伸長粘度はなぜ3倍? にたどり着くまで、一歩一歩進んでいきたいと思います。


2019年4月2日火曜日

粘弾性について4)_万物は流転する


粘性や、弾性、物体の流動や変形に関する学問を、Rheology(レオロジー)と呼びます。
呼ばれているところは聞いたことがありませんが、日本語では、「流動学」と呼ばれる
ようです。


紀元前5~6世紀ころの、ギリシアの哲学者、ヘラクレイトスは、
「panta rhei (万物は流転する)」
という言葉を残したそうです。


ニュートンが、ニュートン力学体系を解説した、かの有名な「プリンシピア」の中で、
ニュートンの粘性法則を提起したのが、1687年。

フックは、1678年、著作「復元力についての講義」の中で、フックの法則について論証
し、また同著の中で、フックの法則を、1660年に発見したと記しているようです。

このレオロジーの2大法則の発見から、200年以上のちの、1920年、ユージン ビンガム
は、ヘラクレイトスの言葉に、接尾辞として、学問を意味する「-logy」をつけて、Rheology という造語を作り、学問としての体系化に貢献しました。

ヘラクレイトスは、物体の変形や流動を意味して、「万物は流転する」という言葉を
残したのではないと思いますし、
ニュートンと、フックも、それぞれが発見した法則が、一つの学問のなかで合わさり、
骨子となるとは、思ってもいなかったと思います。


ビンガムが、ヘラクレイトスの言葉から、Rheologyという言葉を作ったのは、おそらく
「万物は流転する」という言葉が、レオロジーの本質をついていたからだと思います。


ある物体が固体なのか、液体なのか、その定義は、専門とされる学問の分野それぞれで、
異なると思います。

レオロジーでは、物体はすべて流体であるという視点にたっています。
つまり、「万物は流転する」です。


例えば、氷河を一目見たいと、観光で訪れ、数時間程度、氷河の観察を堪能しました。
氷ですから当然、カチカチの固体です。観察中、なんの変化もありませんでした。
なぜ、流れもしないものを、「河」と表現しているのか、とも思えてきます。

しかし、実際には、氷河は一年に数メートル程度、流動しているそうです。
10年であれば、数十メートル、流れていくことになります。

もし、目の前に普通の河川があり、ぷかぷかとボールが流れていくさまを、数十メートル
ていど、ぼんやりと目で追っていたとします。
おそらく、その時間は、数秒から、数十秒程度でしょう。

このさまをみて、当然、水は流体、と思うはずです。

数十メートルを、数秒から、数十秒程度で流れるものを、流体と定義し、10年で数十
メートル流れるものは、流体として認めない。

この考え方はアンフェアだ、というのが、レオロジーの立ち位置です。

十年という観測時間が長いのか、短いのか、それは目的や人それぞれです。

例えば、十年で数十メートルに相当するくらい変形してしまうような材料は、ふつう、
工業的な用途には適しません。
そのような目的では、その物質は、流体としてとらえた方が良いわけです。


どのような物体も流動しています。速いか、遅いかの違いだけです。
ただし、速い、遅いの閾(しきい)について、神様は差別をしていません。
それが固体なのか、液体なのかは、その物体が変形した大きさと、それを観測した時間を
比べて、それぞれの目的をもとに、その人の判断で決めてください。

レオロジーでの定義では、このように解釈されます。

これは、緩和(時間)という、物体の挙動を理解する必要がありますが、緩和については
またいずれの機会で説明をしたいと思います。


また、レオロジーでは、時間と温度は等価である、という、ユニークな視点があります。

例えば、どうしても短時間で、氷河の流れを見たい時にどうするか。
熱して水にして、その流れを見れば、氷河が長時間の中でどのように流れていくかが
わかります。

逆に、氷のかたさを、水の状態から知りたい場合はどうするか。
素早く、水の表面を手で打ちつけてみる。

この考え方は、温度-時間換算則と呼ばれますが、これもまた、いずれの機会でとりあげ
させていただければと思います。


過去の投稿
  粘弾性について1)_学校の定期試験を例にとった説明
  粘弾性について2)_固体はかたい、液体はやわらかい?
にて、粘弾性の測定は、液体成分と、固体成分に成分わけされた弾性率の情報から、
かたさとともに、物体が液体的か、固体的かを教えてくれると説明しました。

今回の投稿では、

液体的か、固体的か、は、観測する時間によって変わる。
そして、どんな物体も、長時間の観測のなかでは、流動している(液体成分が支配的に
なる)。
その流動に向かっていく物体の挙動を、緩和と呼ぶ。

ということを説明いたしました。


ここまで読んでいただき、ありがとうございました。


2019年3月27日水曜日

粘弾性について3)_粘度と弾性率の定義


これまでの投稿で引っ張ってきた今回のタイトルに、ようやくたどり着くことが
できました。


初回の投稿、粘弾性について1)_学校の定期試験を例にとった説明 の文頭でも
述べましたが、粘性と弾性は、別の物性です。

「粘弾性」という物性は、粘弾性について1)_学校の定期試験を例にとった説明
で説明したとおり、複素数を用いて、粘性成分と弾性成分を合成し、あらわします。

つまり単独では存在しない物性、ということになります。


粘性の定義は、ニュートンの流動法則に基づき、
    力 =  粘性係数 × 速度
としてあらわされます。
この法則は、一般的に液体としてとらえられる物体が、対象となります。

本来、力とは応力であり、速度とはひずみ速度と定義されますが、どのような応力か、
ひずみとは何か、については、ここではふれません。
またの機会とさせていただければと思います。

とりあえずイメージとして、
  ・力を、ボートのオールを漕いだ時の力
  ・速度を、液体の流動速度(上述、液体を掻いたオールの速度、でもよいです)
のように持っていただければと思います。

上記の式を変形すれば、
    速度 = 力 / 粘性係数
となりますので、粘性が小さい液体に対し、大きな力を与える条件では、
流動が速くなる。
ということは、イメージしやすいのではないかと思います。

いずれにしましても、力と速度は、比例関係であるということがポイントです。


一方で、弾性の定義は、フックの弾性法則に基づき、
    力 = 弾性係数 × 変形の大きさ
としてあらわされます。
この法則は、一般的に固体としてとらえられる物体が、対象となります。

ここでも、やはり、力は応力をさし、変形は、ひずみとして定義されますが、説明に
つきましては、またの機会とさせていただければと思います。

とりあえず、
  ・変形を、消しゴムとかグミキャンディーを、指で押してみたときの変形
  ・力を、その時の力の入れ具合
を、イメージとして持っていただければと思います。
  
上式を変形しますと、

       変形の大きさ = 力 / 弾性係数

となりますので、やわらかい(弾性係数が小さい)ものに、力をこめるほど、おおきく変形する、ということでイメージしやすいのではないかと思います。

ここでは、力と変形の大きさが、比例関係である、ということがポイントです。


粘性係数、弾性係数を求めるための式、

       粘性係数 = 力 / 速度
       弾性係数 = 力 / 変形の大きさ

ですので、変数がそれぞれ、速度と変形の大きさで異なっており、粘性と弾性は
まったくの別物性だということがわかります。


例えば、上述の、オールで液体を掻く、という情景で、その液体が水であれば、掻かれた
液体は流動している、とイメージできます。
しかし、水ではなく、スライム状の物体であったとき、流動なのか、変形なのか、
どちらかに明確に切り分けることは、難しいのではないでしょうか。

このような時、粘弾性の出番になります。

粘性と弾性、まったく別の物性を、粘弾性として、さも一つの物性であるかのように
みなそう、という方法は、独特であると同時に、大変な実用性を感じます。

また、粘弾性に限らず、現実的には、例えば、潤滑油を塗布した面が、他の面とこすれ
あうとき、こすれの抵抗は、摩擦係数で評価すべきなのか、潤滑油の粘性から評価する
べきなのか、明確な切り分けができない現象は、たくさんあるのかもしれません。


粘性と弾性、それぞれのモデルを用いた図説、
「ひずみ」と「応力」について、
これらは、またの機会に触れていきたいかと思います。


ここまで読んでいただき、ありがとうございました。


2019年3月20日水曜日

粘弾性について2)_固体はかたい、液体はやわらかい?


前回の投稿から、連投しています。
ブログを立ち上げたばかりなので、モチベーションが高いせいかもしれません。
継続していくよう頑張っていきたいと思います。


今回のタイトルのような印象をお持ちの方が、いがいと多いのではないかと思います。
たしかに、

  固体というと、岩とか、金属とか、そんなものが思いうかび、
  液体というと、やはり水とか、せいぜいトロッとした程度のものを思いうかべます。


つぎに、固体と液体の、特徴や性質をあげてみたいと思います。
いろいろあると思いますが、例えば、

  ・固体は、角(かど)がある、つのが立つ、形状を保持する、われる
  ・液体は、しみこむ、ぬれる、丸くなる、水平になる、不定形

のようなことをあげられます。
それぞれが、逆の特性を持っているように思います。

では、この特徴に、「かたい」、「やわらかい」を加えることは妥当でしょうか。


ここで、寒い冬場、または冷蔵庫から取り出したばかりの水あめを、想像していた
だきます。
その水あめに人差し指をつっこんで、そのまま混ぜてみようと思った時、相当な抵抗
を受けることは想像にかたくないと思います。

つまり「かたい」ということであり、粘度が高い、ということになります。

それでも、ビンをさかさまにすれば、ドローっとジワリと流れ出てくるでしょうから、
固体の代名詞的な、岩とか金属と比べれば、やはり液体だからやわらかい、という
結論になるかもしれません。


では次に、今日はお祝いでケーキを食べようと、ショートケーキを買ってきました。
あまりにおいしそうでがまんできず、ついついホイップクリームに指をつっこんで、
ペロっとなめてしまいました。

ホイップクリームに指をつっこんだ時に受けた抵抗(心理的な抵抗ではなく)は、
水あめの時よりも明らかに小さいということは、想像にかたくないと思います。

つまり「やわらかい」ということであり、粘度計で測定してみた場合、粘度が低い、
という結果になるはずです。


ここで、指をつっこんだ時の抵抗の強さを整理してみたいと思います。
    岩とか金属 > 冬場の水あめ > ホイップクリーム
少なくとも冬場の水あめが液体という判定ですので、それよりもやわらかいホイップ
クリームは液体ということになると思います。

この結論は正しいのでしょうか。


ここで、ショートケーキ用のスポンジに、粘度の高い(かたい)水あめと、粘度の低い
(やわらかい)ホイップクリームを、それぞれ塗りたくってみる、という思考実験を
行ってみます。

水あめのケースでは、ドローとスポンジの上にのった後、ベトーっとスポンジにしみ
こんでいく像が思いうかびます。

ホイップクリームのケースでは、まさにお店で売っているショートケーキの像が思い
浮かびます。
ホイップクリームは、しみこむこともなく、星型にそったようなスジがのこり、つの
や角(かど)が立った状態を何時間でも、あるいは日にち単位で保持しますね。

このホイップクリームの特性は、前述した固体の特徴の通りではないでしょうか。


さて、このように、やわらかくても固体、かたくても液体、はどのような物性から評価
したらよいのでしょうか。

粘度計で測定をしてみましょう。結果を下図に示します。


縦軸は粘度値で単位は mPa・s です。
粘度値が100倍程度に異なった結果になっています。

一応、断りを入れておきますと、今回、実測は行っていません。
書籍やインターネットで調べ、おおむね代表的とおもえる値でグラフを作りました。
特にホイップクリームについては、使用する油脂や、空隙(くうげき)の違いなどで、
数十~数百 mPa・s くらいの幅で、粘度値は異なるようです。

ここでは、おおざっぱに100倍くらい粘度値が違う、と思っていただければと思います。

粘度測定の結果から、ホイップクリームのしみこみにくさや、角の立ちやすさを
比較したり予測するのは難しそうですね。
例えば食品の中で、とんかつソースは、数百 mPa・s くらいですが、同じような粘度値
であっても、ホイップクリームとは明らかに異なった特性を持っていますよね。

逆に、ホイップクリームですらしみこまないのだから、それよりも高い粘度値をもつ
水あめはしみこまない。という評価も早計だと思います。


ここで粘弾性による評価の出番です。
結果を下図に示します。
*ホイップクリームの値が、水あめに対し小さぎてグラフ上で見えなくなって
しまうため、便宜上、水あめの値を上記の棒グラフで示した値の1/10にしています。
また、こちらの結果も実測値ではありません。


このグラフの見かたは、「粘弾性について1)_学校の定期試験を例にとった説明」
レビューしていただければと思います。

簡単に説明をいたします。

平面上、両サンプルのベクトルの長さがサンプルのかたさで、誤解を恐れずに言えば、
先に示している棒グラフと同じ長さを持っていると思ってください。

棒グラフとの違いは、ベクトルですので向きを持っています。
そのため、ベクトルの長さである総合的なかたさの値を、横成分と縦成分に分けることが
できます。

ここで、
    横軸は弾性値を示し、固体としてのかたさをあらわします。
    縦軸は粘性値を示し、液体としてのかたさをあらわします。

水あめのほうが、ベクトルが長いため、ホイップクリームよりも圧倒的にかたい、という
ことがわかります。
粘度測定の棒グラフと同じ長さなので、100倍かたい、ということになります。

一方で、グラフの傾きが大きく、垂直に近いため、かたさの内訳は粘性が大半をしめる
ことから、物体の状態としては、液体である、ということを同時に示しています。

ホイップクリームに着目しますと、ベクトル自体は短いものの、傾きが小さいこと
から、粘性成分は小さく、状態としては、固体である、ということを示しています。

ちなみに、とんかつソースを測定した場合、ベクトルはホイップクリームと同じくらい
の長さを持ち、傾きが、おそらく水あめほどではないにしても、液性を示すくらいに
大きいのではないかと予測します。


前回投稿した、「粘弾性について_学校の定期試験を例にとった説明の試み」をサポート
するつもりで書きました本稿、いかがでしたでしょうか。

前回も文末に書きました通り、粘性と弾性、それぞれの定義については掘り下げる必要
があると思います。
また、成分分けのご利益(りやく)は多少わかっていただいたものと思いますが、
ベクトルの向きはどのように測定できるのかが気になりますね。

それはいずれ、またの機会にしたいかと思います。


ここまで読んでいただき、ありがとうございました。


粘弾性について1)_学校の定期試験を例にとった説明


初回の投稿にあたって、何を取り上げるかをしばらく考えていましたが、粘弾性を取り
上げることにしました。


粘性と弾性は全く別の物性です。
粘弾性という物性は、単独では存在しません。

粘性にしろ、弾性にしろ、物体のかたさをあらわしているという共通点がありますが、
ここでは、粘性は液体のかたさ、弾性は固体のかたさ、を示す物性だと思ってください。

実際に物体は、粘性的な要素と弾性的な要素をあわせもっています。
粘性か弾性、どちらかだけでは物体のかたさを評価することはできません。

言い換えれば、純粋な粘性体(液体)、純粋な弾性体(固体)というのは存在しない
ということになります。

単独では存在しない粘弾性、、、このイメージがずっとつかない、という方がたくさん
いるように思います。


ここでは基礎以前の基礎として、イメージをつかんでいただくために、抽象的な説明を
いたします。


学生であるA君とB君の定期試験の結果を表にしました。


受験に備え、そろそろ、志望校のレベル、文系、理系を決めなくてはなりません。

そこで、2人の成績を、
  ・合計点を横軸
  ・国語の点数から数学の点数を引き算した値を縦軸
という見かたでグラフ上にあらわしました。


合計点である横軸は、総合的な学力をあらわします。
縦軸は、国語の点数から数学の点数を引き算していますので、正であれば文系より、
負であれば理系より、ということになります。

いかがでしょうか。
いったい、これが粘弾性となんの関係があるのか・・・?


このグラフの横軸を粘弾性値とします。
これは物体の総合的なかたさをあらわすことになります。

縦軸は、弾性値から粘性値を引き算した値とします。
よって、正であれば弾性体(固体)より、負であれば粘性体(液体)よりというように
物体の状態を示すことになります。

以上のように置き換えてみた図から、物体A君とB君を比べた場合、
  ・A君は弾性体よりでやわらかい
  ・B君は粘性体よりでかたい
という見かたになります。

では次に、以下の表を用いて、粘弾性の測定に置き換えて説明をしたいと思います。

ここでは、国語の点数を弾性率、数学の点数を粘性率に変えており、合計であった
粘弾性値はこの先、複素弾性率と呼ぶようにします。


複素弾性率は、傾向は合計点と同じであるものの、値そのものは変わってしまって
いますね。

ではまた図を用いて説明したいと思います。


この図は、横軸に弾性(国語)、縦軸に粘性(数学)をとり、複素弾性率(合計)は
原点からのベクトルの長さで見ます。

上図から、複素弾性率は三平方の定理
    複素弾性率 = √(x^2 + y^2)
から求まるため、単純に弾性と粘性を足し合わせた値にはならなかったのです。

幾何学的には以上のように求まりますが、複素弾性率の「複素」は、複素数の「複素」
ですので、複素弾性率は、
    複素弾性率 = x + iy
として、虚数を用い一つの数字であらわされます。


いかがでしょうか。


最後の方で複素数、虚数、といったキナ臭いものが登場しました。
実際、このあたりも、粘弾性を難しいものだと印象づけている感は否めません。

しかし、粘弾性を測定するときは、虚数だから、とか、複素数だから、とか、いちいち
そんなことは考えないので、心配はまったくいりません。
単に物体のかたさを、横成分、縦成分として2成分わけしているだけです。

それでも頭がゴチャゴチャするという方も見受けられます。

でも、冷静に考えれば、たかだか2次元的にデータを見ているにすぎません。
実験データの分析手法でも、はやりの人工知能でも、もっともっと多次元のデータ解析
は、実は身近にあります。

過度に難しいと感じるのは「錯覚」だと思います。


とは言っても、成分分けすることがどのように役立つのか、実例などがないとイメージ
はつかないと思いますし、粘性と弾性、それぞれの定義も少しだけ掘り下げる必要が
あると思います。

それはまたの機会にしたいと思います。


ここまで読んでいただき、ありがとうございました。