前回の投稿から、連投しています。
ブログを立ち上げたばかりなので、モチベーションが高いせいかもしれません。
継続していくよう頑張っていきたいと思います。
今回のタイトルのような印象をお持ちの方が、いがいと多いのではないかと思います。
たしかに、
固体というと、岩とか、金属とか、そんなものが思いうかび、
液体というと、やはり水とか、せいぜいトロッとした程度のものを思いうかべます。
つぎに、固体と液体の、特徴や性質をあげてみたいと思います。
いろいろあると思いますが、例えば、
・固体は、角(かど)がある、つのが立つ、形状を保持する、われる
・液体は、しみこむ、ぬれる、丸くなる、水平になる、不定形
のようなことをあげられます。
それぞれが、逆の特性を持っているように思います。
では、この特徴に、「かたい」、「やわらかい」を加えることは妥当でしょうか。
ここで、寒い冬場、または冷蔵庫から取り出したばかりの水あめを、想像していた
だきます。
その水あめに人差し指をつっこんで、そのまま混ぜてみようと思った時、相当な抵抗
を受けることは想像にかたくないと思います。
つまり「かたい」ということであり、粘度が高い、ということになります。
それでも、ビンをさかさまにすれば、ドローっとジワリと流れ出てくるでしょうから、
固体の代名詞的な、岩とか金属と比べれば、やはり液体だからやわらかい、という
結論になるかもしれません。
では次に、今日はお祝いでケーキを食べようと、ショートケーキを買ってきました。
あまりにおいしそうでがまんできず、ついついホイップクリームに指をつっこんで、
ペロっとなめてしまいました。
ホイップクリームに指をつっこんだ時に受けた抵抗(心理的な抵抗ではなく)は、
水あめの時よりも明らかに小さいということは、想像にかたくないと思います。
つまり「やわらかい」ということであり、粘度計で測定してみた場合、粘度が低い、
という結果になるはずです。
ここで、指をつっこんだ時の抵抗の強さを整理してみたいと思います。
岩とか金属 > 冬場の水あめ > ホイップクリーム少なくとも冬場の水あめが液体という判定ですので、それよりもやわらかいホイップ
クリームは液体ということになると思います。
この結論は正しいのでしょうか。
ここで、ショートケーキ用のスポンジに、粘度の高い(かたい)水あめと、粘度の低い
(やわらかい)ホイップクリームを、それぞれ塗りたくってみる、という思考実験を
行ってみます。
水あめのケースでは、ドローとスポンジの上にのった後、ベトーっとスポンジにしみ
こんでいく像が思いうかびます。
ホイップクリームのケースでは、まさにお店で売っているショートケーキの像が思い
浮かびます。
ホイップクリームは、しみこむこともなく、星型にそったようなスジがのこり、つの
や角(かど)が立った状態を何時間でも、あるいは日にち単位で保持しますね。
このホイップクリームの特性は、前述した固体の特徴の通りではないでしょうか。
さて、このように、やわらかくても固体、かたくても液体、はどのような物性から評価
したらよいのでしょうか。
粘度計で測定をしてみましょう。結果を下図に示します。
縦軸は粘度値で単位は mPa・s です。
粘度値が100倍程度に異なった結果になっています。
一応、断りを入れておきますと、今回、実測は行っていません。
書籍やインターネットで調べ、おおむね代表的とおもえる値でグラフを作りました。
特にホイップクリームについては、使用する油脂や、空隙(くうげき)の違いなどで、
数十~数百 mPa・s くらいの幅で、粘度値は異なるようです。
ここでは、おおざっぱに100倍くらい粘度値が違う、と思っていただければと思います。
粘度測定の結果から、ホイップクリームのしみこみにくさや、角の立ちやすさを
比較したり予測するのは難しそうですね。
例えば食品の中で、とんかつソースは、数百 mPa・s くらいですが、同じような粘度値
であっても、ホイップクリームとは明らかに異なった特性を持っていますよね。
逆に、ホイップクリームですらしみこまないのだから、それよりも高い粘度値をもつ
水あめはしみこまない。という評価も早計だと思います。
ここで粘弾性による評価の出番です。
結果を下図に示します。
*ホイップクリームの値が、水あめに対し小さぎてグラフ上で見えなくなって
しまうため、便宜上、水あめの値を上記の棒グラフで示した値の1/10にしています。
また、こちらの結果も実測値ではありません。
このグラフの見かたは、「粘弾性について1)_学校の定期試験を例にとった説明」で
レビューしていただければと思います。
簡単に説明をいたします。
平面上、両サンプルのベクトルの長さがサンプルのかたさで、誤解を恐れずに言えば、
先に示している棒グラフと同じ長さを持っていると思ってください。
棒グラフとの違いは、ベクトルですので向きを持っています。
そのため、ベクトルの長さである総合的なかたさの値を、横成分と縦成分に分けることが
できます。
ここで、
横軸は弾性値を示し、固体としてのかたさをあらわします。
縦軸は粘性値を示し、液体としてのかたさをあらわします。
水あめのほうが、ベクトルが長いため、ホイップクリームよりも圧倒的にかたい、という
ことがわかります。
粘度測定の棒グラフと同じ長さなので、100倍かたい、ということになります。
一方で、グラフの傾きが大きく、垂直に近いため、かたさの内訳は粘性が大半をしめる
ことから、物体の状態としては、液体である、ということを同時に示しています。
ホイップクリームに着目しますと、ベクトル自体は短いものの、傾きが小さいこと
から、粘性成分は小さく、状態としては、固体である、ということを示しています。
ちなみに、とんかつソースを測定した場合、ベクトルはホイップクリームと同じくらい
の長さを持ち、傾きが、おそらく水あめほどではないにしても、液性を示すくらいに
大きいのではないかと予測します。
前回投稿した、「粘弾性について_学校の定期試験を例にとった説明の試み」をサポート
するつもりで書きました本稿、いかがでしたでしょうか。
前回も文末に書きました通り、粘性と弾性、それぞれの定義については掘り下げる必要
があると思います。
また、成分分けのご利益(りやく)は多少わかっていただいたものと思いますが、
ベクトルの向きはどのように測定できるのかが気になりますね。
それはいずれ、またの機会にしたいかと思います。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。
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