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2023年10月11日水曜日

【実測シリーズ】ポータブルレオメータによる測定例_周波数依存からみる緩和挙動

前回に続いて、

【実測シリーズ】Surfgauge 試作室_ハンディな ポータブル レオメータ 

にて紹介した、ハンディレオメータの測定事例を紹介いたします。


レオメータによる動的粘弾性の測定は、上記での投稿でお見せした動画のように、

正弦振動により、材料にひずみを与えます。


一般にレオメータは、この振動の振幅と、周波数を変化させることができます。

そこで、レオメータの主な測定と評価方法は、以下のようなものがあります。


1)振動の周波数を固定し、振幅を、小から大へ変化させていくことで、主に、

降伏点前と、後での材料の応答性の変化を観察する。

2)周波数も、振幅も固定で、時間の経過に伴う材料の変化を観察する。

前回投稿の、接着剤の硬化過程の観察がこれにあたります。

3)周波数も、振幅も固定で、温度を変化させたときの材料の変化を観察する。

4)振幅を固定し、周波数を変化させることで、材料の緩和挙動を観察する。


まずこちらの動画をご覧ください。


いわゆるシリパテを、ゆっくり引っぱったときと、素早く引っぱったときの挙動の
違いを撮影したものです。

素早く引っぱったとき、シリパテは伸びることなく、ブチっとちぎれてしまい、
その断面は平らで、その面もエッジが立っていることがわかると思います。

一方で、ゆっくり引っぱると、シリパテは伸びるとともに、タラーっと垂れて
いきます。


前者は、まさに固体的な挙動であり、後者は、液体的な挙動です。


この様子を、レオメータの測定でどのように表現できるのか。

この時、材料の、緩やかな動きへの応答性と、素早い動きへの応答性を見るため

に、上記、4)の測定方式を試してみます。


結果は、以下の通りです。

横軸 :周波数 [Hz]

左縦軸:貯蔵・損失弾性率 [KPa]

右縦軸:位相差 [°]

赤曲線:貯蔵弾性率、青曲線:損失弾性率、黄曲線:位相差


低周波数から高周波数に向かって、弾性率が文字通り、けた違いに増加している

ことがわかります。

つまり、かたくなっているということになります。


実際、シリパテをゆっくり引っぱったときは、力を必要とせず、抵抗感なく

引っぱることができました。

一方で、素早く引っぱるときは、手に力が入り、抵抗感も感じました。


過去の投稿でも書きましたが、

かたい = 固体、やわらかい = 液体 

は、必ずしも成立しないことがあります。


では、タラーっと垂れる流体的な挙動と、断面が平らで、エッジがっている

という固体的な挙動については、このデータからどのように見ることができる

のでしょうか。


もう少し高周波数まで測定を行えばよかったのですが、いずれにしましても、

グラフからは、高周波数に行くほど貯蔵弾性率の支配性が増し、つまり固体的な

応答をしていることがわかり、

低周波数に行くほど、損失弾性率の支配性が大きく増していっている、つまり

液体的な応答をしていることがわかります。


ここで、このグラフの横軸は周波数、つまりは速度ということになるため、その

逆数は時間になります。

与えているひずみ(振幅)が一定であれば、弾性率の変化は、応力の変化という

ことになりますので、この弾性率のグラフは、緩和曲線とみることができます。


緩和している状態とは、貯蔵成分が限りなく消失している状態といえます。

通常の応力緩和試験では、応力の抜け具合はわかりますが、貯蔵成分の残留に

ついては、明確にはわかりません。

動的粘弾性測定を用いれば、損失成分と、貯蔵成分の値を比較したり、位相差の

値から、これがわかります。


また、ある時間における緩和状態を知りたい場合、通常の応力緩和試験では、

短時間から通貫して、その時間まで緩和試験を行わなくてはなりませんが、

動的粘弾性を用いれば、その時間の逆数となる周期、一点を測定すればよいと

言えます。


なお、緩和については、過去の投稿、

粘弾性について5)_緩和について

【実測シリーズ】緩和時間の測定

などをご参照ください。


動的粘弾性測定の、情報量が多く、興味深い一面が見れたように思いますが、

いかがでしたでしょうか。


ここまで読んでいただき、ありがとうございます。



2023年10月9日月曜日

【実測シリーズ】ポータブルレオメータによる測定例_硬化挙動評価

前回投稿の【実測シリーズ】Surfgauge 試作室_ハンディな ポータブル レオメータ

にて紹介した、ポータブルレオメータによる測定例を紹介いたします。



今回、シリコーン樹脂系弾性接着剤の硬化挙動について、測定を行いました。

下図、測定結果になります。


横軸 :時間 [分]
左縦軸:貯蔵・損失弾性率 [KPa]
右縦軸:位相差 [°]

赤曲線:貯蔵弾性率
青曲線:損失弾性率
黄曲線:位相差

測定開始時は、損失弾性率が貯蔵弾性率を大きく上回り、位相差も90°近辺の

値を示していることから、試料が液体状態であることがわかります。


35分くらいの時点で、位相差が45°を示し、貯蔵・損失弾性率のグラフが

クロスしています。

ここで、液体から固体への遷移点として、硬化時間の判定として定義するという

使い方ができます。


この接着剤を使用する場合、30分程度は、接着面が動かないように固定しておく

必要がありそう、といったような判断ができそうです。


その後、緩やかに位相差が低下し、弾性率が上昇していくことで、完全に固定化

していく様子がわかります。


動的粘弾性の測定は、弾性率をかたさの情報にくわえ、貯蔵・損失成分に、成分

わけできるため、非常に多くの情報を与えてくれます。


動的粘弾性の測定原理については、過去の投稿

粘弾性について6)_動的粘弾性の測定原理

をご参考いただければと思います。


また近々、周波数依存の測定を行った例をご紹介させていただければと思います。


ここまで読んでいただき、ありがとうございました。


2023年10月3日火曜日

【実測シリーズ】Surfgauge 試作室_ハンディな ポータブル レオメータ

 以前の投稿、

「【実測シリーズ】Surfgauge 試作室_ハンディなポータブル レオメータの提案」

にて、ポータブルレオメータの試作機を紹介させていただきました。


ポータブル機器として、より使い勝手の良さを検討し、量産試作が完成いたしました。

外観と、サイズ感は以下のような感じです。


機能と特徴は、

1)
使い勝手を考慮し、ひずみ量と周波数は、有段で設定変更できるようにしています。
側面の上方に設置しているボタンで、それぞれ数段階の切り替えが可能です。

2)
ディスプレイを本体に搭載し、
    ・弾性率(複素、貯蔵、損失)
    ・位相差
    ・周波数
    ・ひずみ量
が、表示されます。
測定しながら、リアルタイムで確認することができますので、検査などの現場使いに
適していると思います。
(弾性率のシンボルに「G」が使用されていますが、この装置は、縦ひずみでの測定の
ため、「E」に変更予定です。。。)

3)
測定子については、
 ・円板型のピストン2種(大、小)
 ・その他(ピン型、円すい型、ナイフエッジ型)
等に対応しています。

円板型のピストンについては、ピストンの断面積と荷重値から応力が算出され、サンプル
の厚みも計測されますので、弾性率[Pa]、ひずみ量[-]の出力が可能です。

その他の測定子については、荷重値[N]と、変形量[mm]から、弾性係数を[N/mm]と
して出力します。

4)
押し込みのモードと、引き上げの両モードを備えました。
押し込みモードは、材料の弾性率の測定に。
引上げモードは、塗装面などの上でそのまま測定することで、塗膜の硬化課程などを
調べることができます。

5)
弾性率だけでなく、位相差のキャリブレーションに対応しています。
レオメータを知っている方にとっては、これは気になるところではないでしょうか。
なお、完全なひずみ制御を採用しているため、変位量については、キャリブレーション
不要です。

6)
以前、紹介した試作機からアクチュエータを変更し、より小さなひずみ量の制御が可能
となりました。


動きがわかりやすいように、かなり大きな振動を与えてますが、切り取った除振パッドを
大ピストンを用い、測定している動画です。
周波数を、適当に切りかえています。



動作の確認、調整のため、いろいろな試料を測定していますが、やはり動的粘弾性の
測定は非常に興味深く、面白いです。
測定例なども、この場であげさせていただき、シェアさせていただければと思います。

主に品質検査などに活躍できるのではないかと期待をしています。


ここまで読んでいただき、ありがとうございました。

2023年3月21日火曜日

【実測シリーズ】Surfgauge 試作室_ハンディな ポータブル 表面張力計の提案_その2

以前、

【実測シリーズ】Surfgauge 試作室_ハンディな ポータブル 表面張力計の提案

と題した投稿で、現場志向のハンディな表面張力計を提案いたしました。


マイクロヘッドを手で回すときに、装置に振動が伝わってしまい、安定した液滴の

滴下をそがいし、ばらつきを生み出す要因になっていました。

当時、この点を改善しないことには、商品化は難しいとの判断に至りました。


最終的に、装置を自動化することで、測定者の動作を最小限にすることで、解決

することができました。

以下、測定中の動画です。

(動画の右下の設定で、画質を変更すると、多少鮮明になります)



動画内容を解説しますと、
・試料を入れた、ディスポタイプのシリンジをセットします。
・流量の設定(3段階)を選択し、一定量、液滴を滴下します。
・滴下を止めると、表面張力値が表示されます。

以前の投稿でも述べましたが、
現場で、簡便に、手早く、測定可能な表面張力の測定機器は、色々な制約があり、
実現が難しいと考えられました。

この装置で解決できると思います。

近日、リリースを予定しております。


ここまで読んでいただき、ありがとうございました。

2022年5月30日月曜日

【実測シリーズ】Surfgauge 試作室_ハンディな ポータブル 表面張力計の提案

 

久々の投稿となります。


さっそくですが、例えば品質管理の現場などで、表面張力の測定がサクッと行えたら

よいなと思ったりします。


表面張力の測定方式の多くは、試料と接触する、装置のセンサシステムの一部となる

測定子を介して測定が行われます。


得てして、測定子は試料液体に対して、よく濡れることが担保されている必要があり

ます。

そのため、測定前に測定子の前処理が必要となったり、使用後には、極力すぐに、

しっかりと洗浄を行い、試料を除去し、保管を行う必要があります。


結果、おそらく、試料を抜き取り、ラボに持ち込むなどし、表面張力の測定を行って

いる、というケースが多いのではないかと思います。


この点を解決することで、より現場に近いところで、表面張力の測定が実現できる

のではないかと、考えてきました。

以下のような方法はいかがでしょうか?



解説しますと、ディスペンサになっている、マイクロメータヘッドを回転させ、液滴を
数滴、ポタポタとシリンジから滴下させます。

滴数は測定者の任意になります。

滴数が多い方が、再現性は良いと思います。


滴下が終わり、左手の親指を離すと、表面張力値が表示されます。


シリンジは、試料の変更とともに取り替えていただきますが、ディスポでも良いかも

しれませんし、後でまとめてガラガラと洗浄してもらっても良いかと思います。


ちなみにこの試作機は、乾電池でも動作いたしますので、場所を選ばず、現場で

試料をシリンジで吸い取り、その場でポタポタ滴下させるだけ。


以上のようなご利用のシーン、ございませんでしょうか?


ここまで読んでいただき、ありがとうございました。


2021年6月5日土曜日

【実測シリーズ】Surfgauge 試作室_ハンディな ポータブル レオメータの提案


いい加減、コロナ禍の閉塞感を感じている方も、いらっしゃるのではないかと
思いますが、いかがお過ごしでしょうか。


現在、今回のタイトルにある、ハンディタイプのレオメータを開発中です。

概ね、システムは仕上がってきたため、実機の動作確認も兼ねて、アプリケーション
として考えられる対象物を、測定してみる、ということを行っています。


少し近い物性の測定器では、粘度計や、硬度計。
これらは、ハンディでポータブルなタイプの測定器が上市されています。

しかし、これまで、手持ちサイズで、動的粘弾性の測定が可能な装置は、まったく普及
されていないように見受けられます。

どのようなところにニーズがあるかは、他のポータブル測定器と同じであるかと
思いますが、一般的には、例えば、

・サンプルが切り出せない(大きい、ラボの外部・遠方にある など)
・現象を測定器上で再現するのではなく、現場で起きている、そのままの現象を
 測定したい
・経時変化が著しく、その場で、すぐに測定する必要がある
・品管などで、汎用的に使いたい

などでしょうか。

とりわけ、動的粘弾性の測定に関していえば、例えば、

塗料や接着剤の硬化過程を、塗布面から直接測定したい。

とか、
食品関係では、食感と粘弾性に、深い関連性がある、米、もち、かまぼこ、ゼリー
などを、調理・加工後、すぐに測定したい場合、

また、
ドウ(パンの生地)のように、練ってから、測定するまでに過発酵してしまい、
すると、テクスチャが変わってしまうため、時間が命だったりする食材など。

その他、
肌、筋肉など、人体を構成する部位の測定。

他にも、色々とニーズはあるかと思います。


ここで、装置を紹介したいと思いますが、
装置のサイズ感、外観は、以下のようなものになります。


装置下面を、任意のサンプル表面に接触させて、測定を行います。

下面には、縦方向に正弦周期的にひずみを与える測定子が備えられており、変形を
与えると同時に、周期的に変化する荷重値を測定します。

変位と荷重の正弦波が得られると、粘弾性の解析が可能になりますが、よろしければ、
概要は、過去の投稿、
をご参照いただければと思います。

なお、測定子については、
形状は、ピン状のもの、球面状のもの、平面状のものなど、
また、これらのサイズを細い・太い、小さい・大きい 
を用意しており、測定対象の性質や、かたさなどから、適切なものを選択できる
ようにしています。


ここからは、測定例の一部を紹介したいと思います。

以下は、接着剤の測定例です。
○・・・貯蔵弾性成分(E')
●・・・損失弾性成分(E")
×・・・位相差(δ)[°]

横軸は、時間[分] です。
右縦軸は、位相差[°] です。
E', E"については、現状、まだ単位はついていませんが、弾性率に比例した値です。
対数軸となっている、縦軸のスケールをご参照ください。

測定開始から、10分てまえのところで、E' = E" (δ = 45°) を示し、液体から
固体への遷移を迎えています。
このように、貯蔵・損失に成分分けすることで、硬化判定の一つの定義を、与えて
くれます。


次は、水溶性塗料の測定例です。
グラフのみかたは、上記、接着剤の例と同じです。

水溶性のためか、接着剤にくらべ、硬化に時間がかかっていることがわかります。

また、硬化前のところでは、データが大きく「ガタ」ついているのがわかるかと
思いますが、硬化前の塗料が、かなりゆるいため、荷重センシングに限界がある
ためかと思います。

これを解決するためには、測定子の面積を大きいものにするということが考えら
れますが、塗料との接触面積を大きくすると、溶媒が揮発しにくくなり、実際の
硬化速度と、かけ離れたデータになってしまう可能性があります。

これには、ナイフエッジ型の測定子を用い、包丁のようにつきたてて測定をする
という方法がかんがえられます。


ありそうで、なかった、できそうで、できなかった。

ハンディ型のレオメータについては、多くのニーズがあるのではないかと考えてます
が、間もなく、ラインナップに加わります。

こんなことで困っている。
こんなものを測定してみたい。

など、お問い合わせいただければ幸いです。


ここまで、読んでいただきありがとうございました。


2021年1月18日月曜日

【実測シリーズ】Surfgauge 試作室_コロナ自粛期間中 速報的 流体解析の提案

 
2021年、初の投稿です。
というより、前回の投稿よりかなりご無沙汰になっておりました。

昨年、今では懐かしくもある、2020年の5月の自粛期間時いらい、コロナは、依然、
終息、収束を見せる気配がありません。

当時、こんな時こそ、「いつかやろう」、「ダメもとでやってみたかったこと」
など、最低の成果でもプラスマイナスゼロ、最悪でも会社やご自身に、損害を与え
ない結果にしかならないようなことをやってみるのはいかがかと、ブログにも投稿
しました。


今回、流体の流動解析を目的とした測定装置を考え、試作装置で測定した実例を
投稿したいと思います。


流体の解析に重要な物性として、粘度、表面張力、密度などがあり、
例えばよく聞くところでは、

レイノルズ数:
ρ: 密度
v: 平均速度
L: 特性長さ
µ: 粘度
ν: 動粘度

せん断粘度(µ) を用いることで、慣性力と、粘性力の比であるとして、わかりやすい
かと思います。

流動において、粘性力は、層流という整った流れを作る源泉であり、
慣性力は、より重たいものが速度づくと、乱流を作る源泉となる、
とみることができます。


ウェーバー数:
ρ: 密度
L: 特性長さ
V平均速度
σ: 表面張力


分子は、レイノルズ数と同じく、慣性力をあらわし、分母の表面張力との比をとり
ます。

スプレーやインクジェットのような高速の噴出、または、高速で液体がぶつかった
時の「しぶき」。
このような現象では、凝集力として作用する表面張力は、球形状の液滴を作り、
慣性力に支配されると、複雑な非球形状になります。


オーネソージ(オーネゾルゲ)数:

レイノルズ数と、ウェーバー数を組み合わせた無次元数です。
粘性力と、表面張力の関係性をあらわします。

例えば、噴出時に、引き延ばされた液滴のフィラメントの破断しやすさを特徴づける
など、自由表面を形成する流動場、液滴の形成において、使われるようです。


これら以外にも、流体力学解析に有効な無次元数は、多数ありますが、それらを
紹介することが目的ではありません。

ここで着目したいのは、代入する、粘度、表面張力の測定についてです。


解析対象となる流動現象で、流体の速度を見積もることができれば、少なくとも
上記で紹介した手法に当てはめ、解析することは可能です。


問題は、

液体のほとんどは非ニュートン流体であり、粘度値が、速度依存性を持つ。

表面張力についても、界面活性剤を混合した系では、動的表面張力として、表面張力は、活性剤の吸着速度に依存性を持つ。
この点は、【実測シリーズ】コロナ自粛期間中 液膜粘弾性の測定 の「マランゴニ効果」を、ご一読
いただければと思います。


粘度については、現場の流動速度から、どうにか、せん断速度を算出し、その
せん断速度での粘度値を得ることは、可能かも知れません。

一方で、動的表面張力の測定は、最大泡圧(バブルプレッシャー)法という、液中に
入れた細いノズルから、泡をポコポコと吐出し、吐出圧力から表面張力を算出する
方式が主流です。
この泡の吐出周期(速度)を変化させ、最大泡圧法固有の速度と、表面張力値を
対比づけしています。

この泡の吐出周波数と、せん断速度、現場の流動速度を、どのように換算するのか。
そうでなくとも、個別に測定した物性値の、速度・時間軸を合わせこむこと自体、
後にエラーがふくらんでいく要因になりそうです。


そこで、以下に、同一システム、同一の環境で、粘度と表面張力を同時測定した
一例を紹介します。
(測定システムの詳細については、割愛します)

以下、すべてのグラフで、
黒マル: インクジェット用 黒インク
黄マル: インクジェット用 黄インク
青マル: 水
・横軸 : 測定時に発生させる流動場の流速[m/sec.]
     (せん断速度に換算することも可能)


図1.粘度値[mPa・s]

黄が黒よりも多少高く、両インクともに、若干の非ニュートン性を示してます。


図2.表面張力[mN/m]


インクについては、黒の速度依存性が若干大きく、両インクとも、流動が高速である
ほど、表面張力が上昇傾向にあり、水と異なり、動的挙動を示してます。

上記、粘度、表面張力の測定結果から、無次元数を求めてみたのが、以下になります。


図4.レイノルズ数


図4.ウェーバー数


図5.オーネソージ数



いかがでしょうか。
測定・解析結果についての検討はしませんが、流速によって、流動特性が変わることが
わかります。

今回紹介した測定方式が実現することにより、

同一測定環境(時間・速度軸)で得られた物性から、流動性解析が可能

それ以外にも、

・一度の測定で、2つの物性値が得られ、測定の手間が省ける
・静的(低速)から、動的(高速)の測定が可能

といった特長があげられます。



ここまで読んでいただき、ありがとうございました。




2020年7月28日火曜日

【実測シリーズ】Surfgauge 試作室_せん断ひずみによる、動的粘弾性の測定


以前、
【実測シリーズ】コロナ自粛期間中 速報的 液膜粘弾性の測定
では、液膜の動的粘弾性の測定の実施例について、投稿をいたしました。

掲載しているデータは、マランゴニ効果、ギブス弾性力による、現象面視点の説明
からは、理にかなっているのでは、と、まとめました。

しかし、液膜を直接、延伸・収縮させる動作から、動的粘弾性の測定原理を利用し、
動的粘弾性パラメータを得て、解析、という実例が見つからないため、このデータの
妥当性が、よくわからないところはあります。

動的粘弾性の測定原理ついては、
粘弾性について6)_動的粘弾性の測定原理
をご参照ください。

このページでも解説している通り、応力とひずみ、両正弦波の振幅の比と、位相の差
が得られれば、動的粘弾性の測定、解析は可能です。

あるデータ範囲において、二つの波形それぞれの振幅値を検出し、その比をとって
複素弾性率を解析することは、システムとして、さほど難しいことではありません。

問題は、位相差の正しい測定と、その検証ではないかと思います。

動的粘弾性測定器は、主に、荷重(力)、位置の二つのセンシングデータを取得し、
後は、ほぼすべて、計算のみで成立しています。

システムは、入力されたセンシングデータを順番に処理しますので、ビット化された
二つの波形データは、交互に(必ずしも、一周期ごと、という意味ではありません)、
波形解析のために、蓄えられていくということになります。

あくまでも、二つのデータを交互に入力されることになりますので、二つのセンサ
固有の動作周期による遅延、A/Dコンバートの時間など、時間差を生む要因を、
物性以外で、システムに起因したものをいくつか思いつきます。

装置の動作は、メカニカルですし、例えば、データ入力のサンプリング周期を把握
することも可能ですので、数理的に補正することは可能です。

このように、「問題ないであろう」、というところまで持っていくことは可能と考え
ますが、
レオロジー的には、完全粘性体、完全弾性体というのはない、というように、例えば、
位相差が0° 、または、位相差が90° であることが担保されている、標準物というもの
が存在しませんので、実地的に検証することが基本的にはできません。

また、この実地的な検証は、動的粘弾性の動作周波数を変化させ、確認したいところ
ですが、
例えば、ある程度、厳密性を許容し、ニュートン流体とされる物体(位相差 ≒ 90°)
を用い、検証したとしても、高周波数域、つまり短緩和時間領域で、ニュートン流体
である物体は、えてして、低粘度です。

動的粘弾性測定機器にとって、低粘度(正確には、低貯蔵弾性率)の物体を、高周波で
測定することは、条件として苦手な方向です。
ここでまた不確定要素、または、その苦手要素を数理的に解消するために、補正する
などの必要性が出てくるため、気色悪い感じになってきます。

以上は、単なる開発上の苦労話として、厳密な話をしていますが、実際には、この
ようなことをさしおいても、動的粘弾性測定器は、非常に有用で、興味深いデータを
与えてくれますので、ある程度、「このようなものだと」気楽に使うのが、良いように
思えます。


ようやく、本題に戻りたいと思います。

【実測シリーズ】コロナ自粛期間中 速報的 液膜粘弾性の測定
では、液膜の動的粘弾性の測定の実施例を紹介しましたが、現象的な観点では、妥当
に思えましたが、前例が見当たらないことや、システムの信頼性を検証していません
でしたので、測定結果の妥当性がよくわかりませんでした。

今回、同じシステムを用い、せん断ひずみによる動的粘弾性測定に応用しました。

ここで、粘度値が既知で、ニュートン流体とされている、シリコーンオイルを用い、
・位相差が90° 付近で検出されるのか
・複素粘度(動的粘弾性測定から得られる粘度値)が、基準値に対し妥当か
について検証を行ってみました。

まず、せん断ひずみについては、こちらをご参照ください。
粘弾性について7)_伸長粘度はなぜ3倍? ~その1~_せん断ひずみと伸長ひずみ
一般的な、粘度計、動的粘弾性測定器で採用されている、ひずみ形態です。

せん断ひずみとは、以下のような立方体要素を、互い違いにずらした時の変形です。


粘度測定では、どこまでもずらし続けていくという格好になりますが、動的粘弾性の
測定では、下図のように、


立方体形状の状態を原点とし、正に、負に、対照的に振動させ、絶対値として、
ひずみ量、応力を得ます。
なお、動的粘弾性では、
・振動周波数を固定し、振幅の大きさを変化(通常は、小から大へ)
・振幅の大きさを固定し、振動周波数を変化
させて、それぞれの応答特性を得て、解析するなどします。


以下に、振幅の大きさ(ひずみ量)を変化させたときの結果を、示します。


3種のシリコーンオイル、以下の粘度値のものを使用しました。

  青:5 Pa・s
  赤:1 Pa・s
  緑:0.3 Pa・s

低ひずみ量域では、グラフが平坦でないことがわかりますが、変位、荷重(力)が、
微小、微弱なため、装置のセンシング能力に原因があるものと思います。
この辺は、まだブラッシュアップの余地があるように思います。

ひずみ量が、ある程度大きくなり、データが安定している領域では、位相差は、
概ね90° 付近で平坦性を示しているかと思います。


次に、ひずみ量を固定し、周波数のみを変化させて、測定した結果を示します。


ここでも、3種のシリコーンオイル、以下の粘度値のものを使用しました。

  青:5 Pa・s
  赤:1 Pa・s
  緑:0.3 Pa・s

ここで縦軸は、複素粘度で、動的粘弾性の測定から得られる、粘度値です。
複素粘度は、緩和領域では、いわゆる通常の回転式粘度計によるせん断粘度と、同じ
値を示します。

ちなみに、この緩和領域では、角周波数とせん断速度は、等価であるという、
コックス-メルツの経験則があります。
非ニュートン流体を測定したとき、粘度低下する程度に高せん断速度領域の、せん断
粘度値に、複素粘度は合致しない、というように言いかえられます。

この結果では、複素粘度が角周波数に対して一定で、ニュートン流体であることを
示しており、粘度値も、それぞれ、基準値と同じ値を示しています。

複素粘度は、複素弾性率を、周波数[Hz] × 2π で割り算して得られます。 周波数の
計測が正しいとして、複素粘度が妥当な値であれば、複素弾性率も妥当であると言え
ます。

概ねニュートン流体といってよい、今回使用した、シリコーンオイルの、ひずみ依存
測定では、位相差が、90° 付近の値が出ていることも確認できました。

今回、せん断ひずみ用の治具は、急造したものを使用したり、
低ひずみ領域のセンシング能力、をはじめとして、
システムとして、まだまだブラッシュアップの課題はありますが、とりあえず、今回は、
まずまず、妥当な測定結果が得られたものと考えています。

また、複素弾性率と、位相差から計算される、貯蔵弾性率も、損失弾性率も、まずまず
妥当な結果になるものと、判断できます。

ちなみに、商品情報によれば、今回使用したシリコーンオイルは、高粘度タイプのもの
ほど、シアシニング特性(高せん断速度で、粘度低下する)が出る傾向にあるよう
なので、厳密には非ニュートン流体といえます。
そのため、十分なシアシニングが起きない、低せん断速度、または低ひずみ領域では、
貯蔵弾性率成分が、まったくないとは言えない、という点に注意が必要と思います。


今回の、せん断ひずみによる粘弾性測定の結果も踏まえまして、
【実測シリーズ】コロナ自粛期間中 速報的 液膜粘弾性の測定
での、液膜の動的粘弾性の測定の実施例について、再評価もいただければ幸いです。

今回、見えてきた課題もブラッシュアップしつつ、多機能で手軽に使用できる、
動的粘弾性測定システムとして、商品紹介できるまで、開発を継続したいと思います。


ここまで読んでいただき、ありがとうございました。


2020年5月15日金曜日

【実測シリーズ】Surfgauge 試作室_コロナ自粛期間中 速報的 液膜粘弾性の測定


前回の投稿から、だいぶん間があいてしまいました。

昨今のコロナ自粛期間中、いかがお過ごしでしょうか。


世の中、今回を機に、コロナ終了後も、在宅ワークの流れは促進されていくのかも
しれませんが、業務や時間効率が上がるのであれば、どんどんそのようになっていけば
良いのかなと思います。

私どもは、もともと在宅ワークの方式をとっていますが、特に不便を感じたことは
ありません。

ただ、今回のような自粛、緊急事態宣言下で、テンポラリーに在宅ワークを行っている
方は、お客様や、パートナーなどが稼働していなければ、やることもなくなってきて
しまうのではないかと想像します。

このような時は、「いつかやろう」、「ダメもとでやってみたかったこと」など、
最低の成果でもプラスマイナスゼロ、最悪でも会社やご自身に、損害を与えない結果
にしかならないようなことをやってみるのはいかがかと思いました。

申しました通り、もともと在宅ワークということもあり、ここまでの間、取り立てて
仕事のペースが変わることはなかったのですが、自粛の気分を変えたいと思い、
「いつかやろう」と考えていたこととして、液膜粘弾性測定装置の試作にトライして
みました。



前置きが長くなりましたが、今回のタイトルに戻りたいと思います。


当ブログでは、これまで、「粘弾性」に関係する内容がほとんどでした。

粘弾性については、主に、概念的なお話をさせていただきました。

粘弾性測定の実測については、本来は粘弾性の測定原理まで到達した後で投稿する、
という中期計画でした。

  ブログをかなりサボってしまっていたこと。
  「自粛の気分転換」。

これらはさることながら、
「液膜粘弾性の実測」については、なかなか目にすることはないはず、と思い、
今回、あげさせていただくことにしました。


いきなり測定データを示します。


白抜きのドットが貯蔵(バネ弾性)成分。
黒塗りのドットが損失(粘性)成分です。

バネ弾性、粘性成分については、よろしければ、こちらをどうぞ。
粘弾性について1)_学校の定期試験を例にとった説明
粘弾性について2)_固体はかたい、液体はやわらかい?

横軸は、周波数で、対数軸になっています。

食器用洗剤水溶液(確実にミセル濃度以上、正確な濃度は不明)の液(シャボン)膜
を作り、その膜をある方法で、ひっぱったり、縮めたりという動作を「正弦周期的」
に繰り返しました。

その際、膜の長さと、力の変化を、それぞれ正弦波のデータとして記録します。

変形の大きさと、力の関係から、弾性率が得られることを、
粘弾性について6)_伸長粘度はなぜ3倍? ~その1~_せん断ひずみと伸長ひずみ
で説明をいたしました。

これらの関係を正弦波で得ると、かたさである弾性率を、貯蔵成分と損失成分に分ける
ことができます。

この粘弾性の測定原理については、いずれの機会に投稿したいと思います。


往復運動の速度を上げていくと、特に貯蔵(バネ弾性)成分の顕著な上昇がみられます。


ミセル濃度を超える液膜には、洗剤に含まれる界面活性剤分子が、密に吸着し配向
しています。

界面活性剤の吸着密度に応じ、表面張力は低下します。

一方で、液膜を引き延ばし、表面積が増加すると、密であった界面活性剤が瞬間的
には「疎」の状態になりますので、液膜の表面では、界面活性剤濃度が低くなり、
瞬間的に表面張力は上昇します。
これは「ギブス弾性力」で説明されます。

液膜を引っ張ると、表面積を最小にして安定化をはかろうとする表面張力の作用に
より、縮まろうとしますので、表面張力はバネ弾性のように働きます。

以下、ウィキペディアで紹介されている動画を見ていただくと、イメージがよくつかめます。
https://en.wikipedia.org/wiki/Surface_tension

いっぽうで、「疎」になった隙間には、すぐに界面活性剤が移動してきて、密の状態
になるため、表面張力を低下させます。
このメカニズムを「マランゴニ効果」とよびます。

高周波数領域では、液膜の表面積の増加に、界面活性剤の移動がおいつかないため、
弾性率が上昇し、
周波数が低い領域では、界面活性剤の移動がじゅうぶんにおいつくため、弾性率は
上昇することなく、安定していると、グラフからは理解できそうです。

低周波数領域では、弾性成分が粘性成分を上回り、並行で平坦なグラフになって
いますが、配向した界面活性剤が、構造として液膜の安定に寄与しているのでは
ないかと想像します。


いかがでしょうか。


今回、試験を行ってみて、例えば、

  起泡性、泡安定性、フォーミング、テクスチャーなどを検討する際の、液膜物性
  の評価。
  目的に合わせた材料設計時の、界面活性剤の選定。

などに、実用性のある測定方法になるのではないかと思いました。

試作機をブラッシュアップしながら、色々な液体を試してみたいというように思い
ました。


ここまで読んでいただき、ありがとうございました。


2019年9月3日火曜日

【実測シリーズ】緩和時間の測定


過去の投稿で、「緩和」について説明をいたしました。

粘弾性について4)_万物は流転する
粘弾性について5)_緩和について


今回は、緩和曲線を得るための簡単な試験機を作成し、緩和時間を測定してみた結果
をシェアさせていただきたいと思います。


試験機の概要を示します。




測定の手順は、以下の通りです。
なお、サンプルにはシリパテを用いました。

1.サンプルを一気に押し込む
2.荷重値がゼロになるまで計測
3.荷重値が37%に減衰する区間の時間(緩和時間)を確認
4.応力緩和の式(粘弾性について5)_緩和について)に代入しフィッティング
  曲線を得る


以下に、結果を示します。




ドットでプロットされているのが、生の測定データです。
実線がフィッティング曲線です。

測定の後半、低荷重域で生データとフィッティング曲線のずれが大きくなっています
が(低荷重測定の感度の問題、測定開始直後との接触面積の違いなど、いくつか要因
が思いつきます)、概ねよくフィッティングしていると思います。

また、測定開始直後は、値がすべて4000程度を示していますが、センサの測定範囲
を超えているため、飽和してしまっています。

これらのように、実際の測定においても、例えば、センサの感度、時間分解能といった
装置要因による制約で、測定したいところが測定できない、ということは起き得ます。

また、きわめて長時間かけて緩和する物体も多々あるため、測定が長時間におよんで
しまうこともあります。

しかし、このように、ある区間の計測をすることで、短時間、長時間の緩和挙動を
予測することができます。



また、ステージ温度を3水準振って実験を行いましたが、結果からは、温度が高い
ほど、応力曲線の減衰がはやいことがわかると思います。

以下に、緩和時間と測定温度の関係を示します。




例えば樹脂の成形加工などのように、温度と緩和時間の関係を知ることは大変重要
ですが、緩和に長時間かかる場合、このように温度をあげて測定することで、測定
時間の短縮も可能です。

このように、温度と時間には一定の関係性があり、これを「温度-時間換算則」と
いい、レオロジーでは重要な概念の一つです。



いかがでしょうか。

緩和時間には、自然対数(ネイピア数)が出てきたり、応力緩和のモデル式には、
指数関数が含まれていることから、苦手意識をもつ方もいるかもしれません。

しかし、モデルそのものは決して難しいものではない、と思っていただくきっかけに
なれば幸いです。


ここまで読んでいただき、ありがとうございました。


2019年5月15日水曜日

【実測シリーズ】撹拌型 粘性評価器 SVE-1 を用いた「とろみ剤」の測定


前回の投稿以来、少し時間があいてしまいました。

今回は、攪拌型粘性評価器SVE-1を使って、とろみ剤水溶液の粘性を評価してみた
内容を、「実測シリーズ」として取り上げたいと思います。


SVE-1は、センサを内蔵した専用の測定スティックを用いて測定者の攪拌動作から流動
抵抗を検出し、回転数に応じた流動抵抗値や近似粘度を求めることができます。

装置の紹介ページはこちら


とろみ剤は、ジュースやスープなどに溶かし入れ、とろみをつけて飲みこみを容易にし、
誤嚥を防ぐ目的で用いられます。

とろみ剤は、カンキツ類やリンゴなどを原料としたペクチン、マメ科の植物から抽出
したグァーガム、微生物が生成するキサンタンガムを主原料としたものなど、
さまざまな種類があります。
多くは、粉末状の食品添加物として販売されています。


誤嚥によりひきおこされる肺炎は、高齢者の死亡原因としてかなり上位に位置します。
とろみ剤は、高齢化社会の現在、市場で注目されています。

嚥下補助食分野では、液体のとろみの強さは、3段階に分類されており(表1)、
とろみ度合の大きさを粘度で規定しています。
各とろみ剤メーカは、この粘度値をもとにとろみ剤の分量(目安)を定めています。


【表1
とろみの強さ
粘度(mPa.s)  
薄いとろみ
50~150
中間のとろみ
150~300
濃いとろみ
300~500
※日本摂食嚥下リハビリテーション学会 嚥下調整食分類2013(とろみ)より
※粘度は、プレート型粘度計を用いて、測定温度20℃、せん断速度50sec-1における値とする。



今回、とろみ剤を添加する液体は常温の水とし、とろみの強さに応じた種々のとろみ
液体の粘度を測定しました。

とろみ剤の投入量や調整方法についてはメーカが推奨する手順にならい、使用方法の
概要は以下のとおりです。
なお、攪拌の際は、SVE-1の専用スティックを用いて攪拌しました。

・液体にとろみ剤を投入したら、すぐに攪拌する(30秒程度)
・攪拌してから2~3分放置するととろみがつく


図1~3に、とろみ剤の添加量ごとの結果を図示します。
図中には、それぞれ攪拌中および攪拌後3分放置後の粘度を比較しています。
縦軸は粘度(単位:mPa.s)、横軸は測定時間()です。


            【図1


            【図2


            【図3


いずれの添加量においても、攪拌に伴い粘度が徐々に増加していることがわかります。
このことは、攪拌動作中に流動抵抗が増していく感覚とも一致しています。

また、いずれの添加量においても攪拌後3分放置することで増粘していることから、
メーカの使用方法にあるとおり、時間をおくと、とろみがついていくことがわかります。


添加量の違いごとの粘度値を、図4にまとめました。
添加量の増加に伴って粘度も高くなっており、たしかにとろみが強くなっていることが
わかります。


            【図4


なお、今回SVE-1で測定された粘度はいずれもとろみの分類(表1)で提示されている
粘度より高くなっています。

これは、SVE-1で測定したときの攪拌によるせん断速度(回転数としては約4回転/秒)
と、とろみ分類で規定された粘度のせん断速度条件(50sec-1)が異なるためだと考え
られます。

なお、定められているせん断速度(50sec-1)は、流体食品が、人間の咽喉を流れる
ときの速度を根拠としているようです。

とろみ剤溶液は、いわゆる「非ニュートン」性をしめし、せん断速度の増加に伴って
粘度が減少する性質があります。(図5参照)
攪拌動作は、せん断速度に換算するとおそらく50sec-1よりも低いのではないかと
考えられます。


            【図5】とろみ剤のせん断速度と粘度の関係のイメージ


ところで、とろみ剤でとろみのついた飲み物について、少し時間をおいてから飲む
というケースもあるかと思います。

その際、時間経過によってとろみが変わってしまうようでは、再度調整する必要が生じ、
利便性に欠けるため、とろみは、変わらずに安定していることが望ましいです。

そこで、中間のとろみ(1.8g)に調整した、とろみ剤水溶液について、攪拌直後からの
粘度の経時変化を調べてみました。(6)

この結果では、3, 10, 20分後において粘度はほぼ同等であり、とろみは安定・保持
していることがわかりました。


            【図6


ここまで読んでいただき、ありがとうございました。

このブログでは、「実測シリーズ」として、今後も、測定データを掲載した内容を、
投稿したいと思います。