久々の投稿となりましたが、今回、これまでのテーマからはかなり変わり、
SDGsに関連した内容を投稿しようと思いました。
SDGsとは、「持続可能な開発目標」のことで、2030年までに、持続可能で
よりよい世界を目指す国際目標として設定されているそうです。
17のゴール・169のターゲットから構成されているようですが、開発の内容として、
該当、適応をする範囲はある程度、解釈などにより幅広いように思います。
先進国を中心としたフードロスと、途上国を中心とした、飢餓人口の増加。
肉食と環境問題。
これらを解決する技術開発の一つとして注目されている、植物性代替肉について、
取り上げたいと思います。
フードロスは、
食品の生産、加工、廃棄時の、
・エネルギーの浪費による気候変動
・化学物質の排出
などを引き起こしていると指摘されています。
肉食と、そのための畜産は、
・温室効果ガス排出の約15%
・地球上の不凍地の約1/4が家畜放牧に使用
・地球上の全耕作地の1/3が家畜用飼料生産に使用
・肥料、淡水、土壌の無駄遣い
・動物愛護
・健康被害(虚血性心疾患、脳卒中、ガン)
などの問題の原因になっていると指摘されています。
2050年までに地球上の人口は、100億人ごえの見通しで、
・ 食肉の供給は、現在の70%増が必要
・ともない、温室効果ガスは約92%増
との予想もあります。
植物中心の食事にかえていくことで、気候変動や健康被害リスクを回避する
という動きがあり、代替肉への期待が高まっています。
代替肉への期待に対して、
1)植物性たんぱく質の利用
2)培養肉
これらの技術開発が競い合っているようです。
ただし、培養肉は、
・そもそも、動物性原料である、ウシ胎児の血清が必要
・製造難易度が高い
・筋肉細胞を成長させるため、脂肪成分がない
・製造時に高いエネルギーが要される
・温室効果ガス削減は7%程度にしかならない(対牛肉)
など、課題が多いようです。
一方で、植物性代替肉は、上記の培養肉の課題に対しても優位で、
加熱溶融混錬方式という、食品加工でも、もともと使用されている製法を応用でき、
フィレットタイプや、ミンチタイプなど、種々の加工にも容易に対応できる点でも
優位性があるようです。
大豆を原料とした植物性代替肉は、一部、ハンバーガーファストフード店やスーパ-
などでも、ソイミートという名称などで販売されています。
すでに試された方の中には、大豆のにおい、歯ごたえ、などで、まだまだ肉には
とどかない、という感想を持たれた方もいるのではないかと思います。
このあたりが、植物性代替肉の主な課題といえそうです。
植物性代替肉は、たんぱく質が豊富な穀物(主に大豆)の粉末と水を、主なベース
原料とし、 これを、加熱溶融混錬方式の加熱、混錬、圧縮を要素とし、水素結合により、
組織化したたんぱく質が肉のような質感を生んでいるそうです。
混錬とは、よく練り、混ぜ合わせることですが、せん断により、機械的エネルギーを、
効果的に原料に与えるような設計になっているようです。
せん断といえば、これまで、当ブログで紹介をしてきた、レオロジーで非常になじみ
ですし、
「せん断ひずみ」については、よろしければ、
粘弾性について7)_伸長粘度はなぜ3倍? ~その1~_せん断ひずみと伸長ひずみ
を、ご参考いただければと思います。
表面張力といえば、分子間力相互作用ですので、やはり、植物性代替肉の製法は、
我々には非常になじみのある分野が関連しているように思いました。
SDGs的には、混錬時の加熱に要されるエネルギーの浪費は避けたいところで、熱の
かわりに他のエネルギー要素を、より効率的に与える方法と、分子間相互作用を、より
促進させるような方法でおぎなう。
思いたったら、手を動かすと、
いきなりですが、混錬の装置について考え、検証用に簡単な装置で、ミンチ状の代替肉を
イメージし、作ってみました。
以下が、大豆粉と水(+とある食品添加剤)でつくった代替肉(もどき)です。
右が、混錬加工直後のものです。太さは5mm程度です。
左が、一昼夜、水につけておいた後のものです。
単に、粉を水で混ぜて固めただけだと、水にいれて間もなく、崩れてしまいますが、
若干膨潤してはいるものの、形状が保持されていることがわかると思います。
たんぱく質が組織化しているためと思われます。
触ってみると、弾力があります。
このサンプルは、実は、ほぼ加熱無しで混錬したものです。
多少粉っぽい個所も残されてますが、初の取り組みとしては、とりあえず、まずまず
のような気がします。
想定が正しい方向であったのではないかと、装置の改善、追加工などで、試してみたい
ことがいくつか出てきました。
人体を考えると、体温くらいの温度でも、十分に組織化させられるのではないか、とか、
その温度くらいまでは加熱しても良いかな、とか、そんな想像もふくらみます。
SDGsについては、原因と結果の因果関係が不明確な開発課題があることが指摘されて
いたり、パワーゲームの要素や、出来レース的なみかたもあったりと、このような
取り組みの問題点として、わからなくもないとは思います。
ただ、ファッション業界では、流行色が実はあらかじめ決められているように、企業や
経済活動的には、暗中模索でギャンブル的になってしまうよりは、開発の指針が明確に
されていることは、正直ありがたい、と思うのは事実かと思います。
時に、テーマを与えられることで、今回の投稿のように、ワクワクしたり、楽しく
なってくるようなこともあるように思います。
ここまで読んでいただきありがとうございました。