2019年3月20日水曜日

粘弾性について1)_学校の定期試験を例にとった説明


初回の投稿にあたって、何を取り上げるかをしばらく考えていましたが、粘弾性を取り
上げることにしました。


粘性と弾性は全く別の物性です。
粘弾性という物性は、単独では存在しません。

粘性にしろ、弾性にしろ、物体のかたさをあらわしているという共通点がありますが、
ここでは、粘性は液体のかたさ、弾性は固体のかたさ、を示す物性だと思ってください。

実際に物体は、粘性的な要素と弾性的な要素をあわせもっています。
粘性か弾性、どちらかだけでは物体のかたさを評価することはできません。

言い換えれば、純粋な粘性体(液体)、純粋な弾性体(固体)というのは存在しない
ということになります。

単独では存在しない粘弾性、、、このイメージがずっとつかない、という方がたくさん
いるように思います。


ここでは基礎以前の基礎として、イメージをつかんでいただくために、抽象的な説明を
いたします。


学生であるA君とB君の定期試験の結果を表にしました。


受験に備え、そろそろ、志望校のレベル、文系、理系を決めなくてはなりません。

そこで、2人の成績を、
  ・合計点を横軸
  ・国語の点数から数学の点数を引き算した値を縦軸
という見かたでグラフ上にあらわしました。


合計点である横軸は、総合的な学力をあらわします。
縦軸は、国語の点数から数学の点数を引き算していますので、正であれば文系より、
負であれば理系より、ということになります。

いかがでしょうか。
いったい、これが粘弾性となんの関係があるのか・・・?


このグラフの横軸を粘弾性値とします。
これは物体の総合的なかたさをあらわすことになります。

縦軸は、弾性値から粘性値を引き算した値とします。
よって、正であれば弾性体(固体)より、負であれば粘性体(液体)よりというように
物体の状態を示すことになります。

以上のように置き換えてみた図から、物体A君とB君を比べた場合、
  ・A君は弾性体よりでやわらかい
  ・B君は粘性体よりでかたい
という見かたになります。

では次に、以下の表を用いて、粘弾性の測定に置き換えて説明をしたいと思います。

ここでは、国語の点数を弾性率、数学の点数を粘性率に変えており、合計であった
粘弾性値はこの先、複素弾性率と呼ぶようにします。


複素弾性率は、傾向は合計点と同じであるものの、値そのものは変わってしまって
いますね。

ではまた図を用いて説明したいと思います。


この図は、横軸に弾性(国語)、縦軸に粘性(数学)をとり、複素弾性率(合計)は
原点からのベクトルの長さで見ます。

上図から、複素弾性率は三平方の定理
    複素弾性率 = √(x^2 + y^2)
から求まるため、単純に弾性と粘性を足し合わせた値にはならなかったのです。

幾何学的には以上のように求まりますが、複素弾性率の「複素」は、複素数の「複素」
ですので、複素弾性率は、
    複素弾性率 = x + iy
として、虚数を用い一つの数字であらわされます。


いかがでしょうか。


最後の方で複素数、虚数、といったキナ臭いものが登場しました。
実際、このあたりも、粘弾性を難しいものだと印象づけている感は否めません。

しかし、粘弾性を測定するときは、虚数だから、とか、複素数だから、とか、いちいち
そんなことは考えないので、心配はまったくいりません。
単に物体のかたさを、横成分、縦成分として2成分わけしているだけです。

それでも頭がゴチャゴチャするという方も見受けられます。

でも、冷静に考えれば、たかだか2次元的にデータを見ているにすぎません。
実験データの分析手法でも、はやりの人工知能でも、もっともっと多次元のデータ解析
は、実は身近にあります。

過度に難しいと感じるのは「錯覚」だと思います。


とは言っても、成分分けすることがどのように役立つのか、実例などがないとイメージ
はつかないと思いますし、粘性と弾性、それぞれの定義も少しだけ掘り下げる必要が
あると思います。

それはまたの機会にしたいと思います。


ここまで読んでいただき、ありがとうございました。


2 件のコメント:

  1. 昔のことですが、友だちがどこかに旅行して板状の飴を買ってきました。その飴は凸凹したものの上に置いておくと、その形に沿って変形する(流れる)、叩くと割れる、というものでした。
    その飴は何というものなのか、どこで買えるのかなど、ご存じでしょうか?

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    1. コメントまことにありがとうございます。
      返信が遅くなってしまい、申し訳ございません。

      そんなお菓子あったような、なかったようなという気がしないでもないですが、残念ながら存じ上げておりませんでした。

      少し調べてみまして、金沢に「おこしあめ」という、割って食べる、板状の飴がありました。

      このおこしあめについて掲載していた某ブログによれば、
      割って食べる、
      強い粘りがある、
      常温で保存すると固まってしまう、
      詳細にはかかれてはいないものの、投稿者様のおっしゃるような、相反する性状を持っているように思えました。

      板状のおこしあめ、見た目に特徴がありますので、一度検索してご確認してみていただければと思います。

      引き続き、当ブログをよろしくお願い申し上げます。

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